線虫が好むがん細胞由来の物質
今回の研究により、線虫が早期のすい臓がんも検出可能であることが示されました。
線虫を用いたがんの検査精度は、標準的な腫瘍マーカー(血液検査)よりも遥かに優れており、今後のがん検査において大きな役割を果たしていくと考えられます。
また線虫が、がん細胞が発するどんな物質を好んでいるかを調べることができれば、新しいがんのマーカーをみつけることにもつながります。
最新の研究では初期の膵管腺癌患者の尿には揮発性有機化合物(VOC)の構成濃度やアセトン、2-パンタノン、4-メチル-2-ヘプタノン、D-リモネン、レボメントールの濃度が変化していることが示されています。
また一部の犬は人間から吐き出される空気から、がん患者を特定できることも示されており、こちらでも揮発性(空気に蒸発する)の化合物が、がんのマーカーになりえることを示しています。
線虫を用いた実験でも、線虫は尿に含まれる揮発性有機化合物の比率変化を感知して、近寄ったり遠ざかったりする可能性が示されました。
ただ現在の技術では、複雑に絡み合った化合物と嗅覚反応の特定には長い時間がかかると予想されており、いましばらくは、線虫の助けを借りる必要があるようです。