心拍数が同期するとき
人は同じ映画を見ているときや、同じライブパフォーマンスを見ているときなどに、呼吸や心拍数などの身体機能が同期することが確認されています。
これは一緒に同じ場所にいて、同じものを見ていることから起きる一体感やライブ感が原因だと考えられていました。
しかし、新たな研究は、それがまったく別々の離れた場所にいる人同士でも起きることを確認したといいます。
研究を報告したのは、パリ脳研究所などの研究チームです。
彼らはできるだけ人に干渉せずに、意識状態を探る新しい方法はないかということを考えていました。
たいていこうした調査では、脳スキャンを利用しますが、彼らはもっとシンプルな方法があるのではないかと考えたのです。
そこで彼らは物語を聞いているときの、人の心拍数を測定してみようと思いつきます。
心拍の測定は非常に簡単な測定の1つであり、そのための機器はどこにでもあります。
そこで、研究チームはジュール・ヴェルヌの名作『海底二万哩』のオーディオブックを被験者に聞かせ、そのときの心拍数の変化を測定する実験を行いました。
すると興味深いことに、別々に測定実験を行った被験者たちが、みな同じタイミングで心拍数の増減を示したのです。
普通に考えるとこれは、物語の展開が同じように人々の感情を揺さぶったため、それが原因で心拍数も同じように変動したと解釈できます。
しかし、この研究チームは、ここで少し変わった面白い追加実験を試したのです。
それはまったく感情の変化が起きそうもない教育ビデオを被験者に鑑賞させるというものでした。