ミツバチ5匹分の電荷で香りが増大
花の香りは主にミツバチを引き寄せて、受粉の手伝いをしてもらうために使われています。
しかし花にとって香り成分は「限られた資源」であり大盤振る舞いはできません。
それどころか無差別に放ち続ければ、葉や花を食べる虫を呼び寄せるキッカケになってしまいます。
そこでブリストル大学の研究者たちは、花にはミツバチの訪問を感知して香りを増大させる仕組みがあるかもしれないと考え、調査をはじめました。
研究者たちはまず、ミツバチと花(紫のペチュニア)を用意して、ミツバチの訪問の前後で、花の香りに変化が起こるかどうかを確かめました。
また調査に使われるペチュニアには、電荷の変化を感知する測定器も取り付けられていました。
ミツバチの体は120ピコクーロンの正の電荷を帯びていることが知られており、接触によって電荷が花に移動する可能性が考えられたからです。
すると予想通り、ミツバチがペチュニアを訪問すると、香り成分である「ベンズアルデヒド」の放出量が2倍に増えることが判明。
また興味深いことに、ミツバチが1匹着地するごとに花に120ピコクーロンの電流が流れ込み、合計値が600ピコクーロン(5匹ぶん)に達すると、香りの増大が起こることが発見されました。
ただこの段階では、ミツバチが着地した衝撃の影響を排除しきれませんでした。
そこで研究者たちは、香りの放出が純粋に電気に依存するかを確かめるため、花を電気刺激することにしました。