知能が高いイヌほど、首を傾げる
本研究では、40名の飼い主が飼っている様々な犬種40頭を対象に、月1回、3ヶ月にわたりテストを行いました。
それぞれの飼い主は、愛犬に2つのおもちゃの名前を教えた後、それを隣の部屋に置きます。
そして、どちらか一方の名前をコールして、該当するおもちゃを愛犬に取って来てもらいます。(おもちゃの種類は、3ヶ月間同じものを使用)
結果、ほとんどの犬種はおもちゃの名前を覚えられませんでしたが、7頭のボーダー・コリーが非常に高いスコアを記録しました。
そこで今度は、この7頭を対象に、おもちゃの数を最大13個まで増やして、3ヶ月間同じテストを実施。
残念ながら1頭は実験前に亡くなってしまったので、残りの6頭でテストを行なっています。
すると、1頭のボーダー・コリーはほぼ100%の確率でテストに成功し、2頭は90%以上、残りの3頭も75%と高い成功率を示しました。
さらなる追加実験では、この6頭は、わずか1週間で12個の新しいおもちゃの名前を覚えることにも成功しています。
知能の高さを見せたボーダー・コリーですが、チームが注目したのはそこではありません。
興味深い点は、これらのボーダー・コリーが、他の犬種に比べて、テスト中に首を傾げる回数が大幅に多かったことです。
データによると、7頭のボーダー・コリーは43%の割合で首を傾げたのに対し、他の33頭はわずか2%でした。
研究主任の動物認知学者であるShany Dror氏は、次のように述べています。
「実験の結果、高いスコアを収めた7頭のボーダー・コリーのみが、飼い主のコールを聞いた後、一貫して首を傾げていました。
これは7頭が、記憶した名前を脳内で解析して、実際のおもちゃと結びつけようとしていることを示唆します。
特に、スコアの高い個体ほど首を傾ぐ頻度も多く、それによって、おもちゃの名前と視覚的イメージを照合しているのかもしれません」
利き手のように「利き首」があった
面白いことに、首を傾げる方向は、人間の右利き、左利きのように、それぞれのイヌによって決まっていることが分かりました。
たとえば、首を右側に倒すイヌは、その後の実験でも必ず右に傾け、左に倒すイヌも方向が変わることはありませんでした。
同チームのAndrea Sommese氏は「こうした方向の一貫性は、イヌが細心の注意を払っているときに頭を傾けることを示す新たな証拠となるかもしれない」と指摘しています。
今回の研究では、ボーダー・コリーを主にしていますが、モノの名前を記憶できる能力は他の犬種でも見られます。
ジャーマンシェパードやペキニーズ、ヨークシャー・テリアなど、知能の高い犬種はたくさんいます。
もし皆さんの飼っているイヌがしょっちゅう首を傾げるなら、頭の良い証拠かもしれません。
本研究が掲載されていた論文誌名に誤りがございました。修正して再送しております。