全物質の25%を含む超構造体
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私たちが夜空に輝く星々や銀河を見ると、それぞれが孤立した存在のように感じられるかもしれません。
しかし、実際の宇宙は、銀河や銀河団、さらには超銀河団が互いに重力で結びついて、まるで巨大なネットワーク(コズミックウェブ)のような構造を形成しています。
宇宙の大規模構造を理解することは、宇宙がどのように形成され、進化してきたのか、そしてダークマターやダークエネルギーといった謎の存在がどのように影響しているのかを探るために非常に重要です。
そこで今回、ドイツのマックスプランク研究所をはじめとした研究者たちは、こうした大規模構造の全貌を明らかにするため、X線を放射する銀河団のデータを駆使して分析を行いました。
X線は、銀河団内部に存在する非常に高温のガスが発するため、銀河団の質量や存在位置を正確に把握する手段として優れています。
また、ほぼ全空域をカバーするCLASSIXサーベイというプロジェクトのデータも活用され、宇宙全体の銀河団分布を網羅的に調査することが可能になりました。
研究者たちは、銀河団(たくさんの銀河が重力で集まったグループ)がどのようにして互いに「つながっている」のかを調べるために、「フレンズ・オブ・フレンズ」アルゴリズムという手法を使いました。
このアルゴリズムは、ある銀河団の周囲に「近くにいる仲間」(物理的な距離で一定以内にある銀河団)があれば、それらを順番に結びつけていく方法です。
簡単に言えば、「もしAとBが近くにあって、BとCも近ければ、A、B、Cは同じ大きなグループに入る」という考え方です。
これにより、個々の銀河団が実は巨大なネットワーク、すなわち「超構造体」としてまとまっていることが見えてきました。
研究では主だった5種類の超構造体について調べられておりそれは以下の通りになっています
- キプ(Quipu)
・大きさ(全長):約428メガパーセク(約14億光年)
・推定質量:約2.4 × 10^17 太陽質量- シャプレー(Shapley)
・大きさ(全長):約90メガパーセク
・推定質量:約0.8 × 10^17 太陽質量- サーペンス・コロナ・ボレアリス(Serpens-Corona Borealis)
・大きさ(全長):約234メガパーセク
・推定質量:約1.8 × 10^17 太陽質量- ヘラクレス(Hercules)
・大きさ(全長):約154メガパーセク
・推定質量:約0.6 × 10^17 太陽質量- スカルプター・ペガサス(Sculptor-Pegasus)
・大きさ(全長):約216メガパーセク
・推定質量:約1.3 × 10^17 太陽質量
またこれら5個の超構造体だけでも、観察範囲の全物質の25%と体積の13%が含まれていることが示されました。
そしてこの中でも最も巨大な超構造体キープの全長は428メガパーセク、すなわち約14億光年にも及ぶことが明らかになりました。
また、キープは、主要な長い軸に沿って、いくつかの細い枝(サブフィラメント)が左右に伸びるという、複雑かつ美しいネットワーク状のパターンを示していました。
この独特な外観から、研究チームは最も大きな超構造体をインカ帝国で用いられた記録装置「キープ(Quipu)」と名付けました。
インカ文明では、結び目や色、糸の長さを利用して膨大な情報を記録しており、その見た目は、太い主たる糸に複数の細い結び目付きの糸が連なる様子に似ています。
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