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衛星イオで観測された史上最大のホットスポット / Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/ASI/INAF/JIRAM
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「史上最強の火山噴火」—木星の衛星イオで何が起きたのか?

2025.02.04 11:30:02 Tuesday

私たちの太陽系には、まるで地球とは別世界の驚くべき天体が数多く存在します。

その中でも、最も極端な火山活動を持つことで知られるのが、木星の衛星「イオ」です。

2024年12月27日、NASAの探査機「ジュノー(Juno)」は、このイオで「史上最も激しい火山噴火」を捉えました。

この観測データによると、イオの南半球に巨大なホットスポットが確認され、放出された熱エネルギーは驚異の80兆ワットを超えることが分かりました。

この発見は、イオの火山活動が私たちの想像をはるかに超える規模で続いていることを示しています。

NASAジェット推進研究所(JPL)の研究者たちは、今回の観測が「イオの内部構造やエネルギー源を理解する重要な手がかりになる」と述べています。

この研究の詳細は、NASAの公式発表として2025年1月28日に公開されました。

NASA Juno Mission Spots Most Powerful Volcanic Activity on Io to Date https://www.jpl.nasa.gov/news/nasa-juno-mission-spots-most-powerful-volcanic-activity-on-io-to-date/ NASA Captures ‘Most Intense Volcanic Eruption Ever’ on Jupiter’s Moon Io https://www.sciencealert.com/nasa-captures-most-intense-volcanic-eruption-ever-on-jupiters-moon-io

火山噴火が続く衛星「イオ」で「最も激しい火山噴火」

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木星の第一衛星イオ / Credit:Wikipedia Commons

イオは木星の第一衛星です。

直径は約3,643kmと、地球のよりもわずかに大きい程度ですが、極めて特殊な存在です。

イオの最大の特徴は、その猛烈な火山活動にあります。

1979年にボイジャー1号がイオを撮影した際には、すでに活発な火山活動が確認されていましたが、その後、ガリレオ探査機(1995-2003年)や地上からの観測によって、400以上の活火山が存在していることが判明しました。

現在では、2011年にジュノーを打ち上げられた木星探査機ジュノーが活用されています。

もともとジュノーは木星の磁場や大気の観測を目的としていましたが、今はイオの火山活動の詳細なデータ収集に取り組んでいるのです。

そしてNASAの新しい報告によると、ジュノーの赤外線観測装置JIRAMが、イオの南半球に巨大なホットスポットを観測しました。

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衛星イオで史上最大のホットスポットが観測される / Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/ASI/INAF/JIRAM

その熱エネルギーは80兆ワット以上だと推定されています。

これは地球の全発電所の総エネルギーの6倍に達する規模であり、過去に観測されたイオの火山活動の中でも最も強力なものでした。

共同研究者のアレッサンドロ・ムラ(Alessandro Mura)氏は、次のように述べています。

「JIRAMはイオの南半球で、非常に強い赤外線放射を検出しました。

その強度が大きすぎて、検出器の測定上限を超えるほどでした。

この赤外線放射は、1つのホットスポットからではなく、密集した複数のホットスポットからもたらされたことも分かっています。

こうしたデータは、地下に巨大なマグマだまりが存在することを示唆しており、これまでに記録された中で最も激しい火山噴火であることを裏付けています。」

研究チームは、今回の発見があった地形の広さが10万平方キロメートルだと推定しており、これは2015年に発見されたイオの溶岩湖ロキ・パテラ(2万平方キロメートル)をはるかに凌ぐ大きさです。

では、イオの強力な火山活動は、どのようにして生じるのでしょうか。

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