火山噴火が続く衛星「イオ」で「最も激しい火山噴火」
直径は約3,643kmと、地球の月よりもわずかに大きい程度ですが、極めて特殊な存在です。
イオの最大の特徴は、その猛烈な火山活動にあります。
1979年にボイジャー1号がイオを撮影した際には、すでに活発な火山活動が確認されていましたが、その後、ガリレオ探査機(1995-2003年)や地上からの観測によって、400以上の活火山が存在していることが判明しました。
現在では、2011年にジュノーを打ち上げられた木星探査機ジュノーが活用されています。
もともとジュノーは木星の磁場や大気の観測を目的としていましたが、今はイオの火山活動の詳細なデータ収集に取り組んでいるのです。
そしてNASAの新しい報告によると、ジュノーの赤外線観測装置JIRAMが、イオの南半球に巨大なホットスポットを観測しました。
その熱エネルギーは80兆ワット以上だと推定されています。
これは地球の全発電所の総エネルギーの6倍に達する規模であり、過去に観測されたイオの火山活動の中でも最も強力なものでした。
共同研究者のアレッサンドロ・ムラ(Alessandro Mura)氏は、次のように述べています。
「JIRAMはイオの南半球で、非常に強い赤外線放射を検出しました。
その強度が大きすぎて、検出器の測定上限を超えるほどでした。
この赤外線放射は、1つのホットスポットからではなく、密集した複数のホットスポットからもたらされたことも分かっています。
こうしたデータは、地下に巨大なマグマだまりが存在することを示唆しており、これまでに記録された中で最も激しい火山噴火であることを裏付けています。」
研究チームは、今回の発見があった地形の広さが10万平方キロメートルだと推定しており、これは2015年に発見されたイオの溶岩湖ロキ・パテラ(2万平方キロメートル)をはるかに凌ぐ大きさです。
では、イオの強力な火山活動は、どのようにして生じるのでしょうか。