なぜイオには火山があるのか? 潮汐加熱が生み出す驚異のエネルギー
イオの火山活動は、地球の火山とはまったく異なるメカニズムで発生しています。
地球では、火山はプレートテクトニクスによってマグマが発生・上昇することで形成されますが、イオの火山活動は 潮汐加熱によって引き起こされます。
潮汐加熱とは、天体が強い重力を受けることで内部に摩擦が生じ、熱が発生する現象です。
イオでは、木星の巨大な重力が常に引っ張るだけでなく、近くにある他の衛星(エウロパやガニメデ)の影響で軌道が少しずつ変化します。
これにより、イオの形がわずかに「伸び縮み」し、そのたびに内部の岩石がこすれ合って熱が生じます。
この熱がイオの内部に蓄積されることで、岩石が溶けて大量のマグマになり、激しい火山活動を引き起こしているのです。
それでも謎は残っています。
イオの激しい火山活動が潮汐加熱によってもたらされていることは確かですが、発生した熱がイオの内部をどのように移動するのか、また潮汐加熱の影響が時間とともにどのように変化するのか、明確には分かっていないのです。
そのため、今回の観測で得られた極端なデータは、こうしたイオの火山活動の謎を解明するのに役立つ可能性があります。
また今回ジュノーは、ホットスポット領域の画像も撮影しており、南極付近の表面の色が過去に撮影した画像と異なっていることも分かりました。
科学者たちは、このような表面の色の変化が火山活動と関連していることを知っています。
ジュノーは、2025年3月に再びイオを通過し、再度、表面の変化を確認する予定です。
今回のような大規模な噴火は、表面に長期間の痕跡を残すはずであり、こうした変化を調査することも、イオの火山活動の理解に繋がります。
これからの探査で、イオの火山の謎がどこまで解明されるのか、ますます目が離せません。
宇宙の神秘です
これだけ大きなエネルギーがあるなら、生物の可能性もありそうですし、中継基地も作れるかもですね。