巨大隕石が衝突したとき、地球では何が起こるのか?
恐竜絶滅の引き金となった巨大隕石が落ちてきたのは、約6600万年前の中生代・白亜紀末のことです。
場所は今日のメキシコ・ユカタン半島付近で、直径約10キロの隕石が直撃しました。
この隕石は「チクシュルーブ衝突体」と呼ばれています。
そもそも隕石の落下自体は何も珍しいことではありません。
直径数センチ〜1メートル未満の隕石なら毎日のように地球に飛来しており、そのほとんどは地球の防護シールドである大気圏で燃え尽きています。
一方で、隕石のサイズが大きくなるほど、地球への衝突確率は低くなります。
その確率は直径10〜100メートル未満のものであれば、数百年〜数千年に一度。直径1キロ以上になると、数百万年に一度です。
さらにチクシュルーブ衝突体のような直径10キロを超える巨大隕石なら、数千万〜数億年に一度となります。
しかしチクシュルーブ衝突体が地球に与えたダメージは、その低確率を補って余りあるほど絶大なものでした。
まず隕石が衝突した瞬間、強烈な衝撃が地球を揺らすと同時に、太陽より何倍も明るい火球が出現します。
その温度は数千℃にも達し、一瞬にして地上の生物や草木を焼き払いました。
地上は一挙に焦土と化し、衝突地点から半径数千キロにわたって気温が100℃を超えたと考えられています。
加えて、落下した場所がユカタン半島沖だったため、海がひっくり返し、巨大な津波が発生しました。
しかも津波の高さは1000メートルを優に超えたとされており、海から離れた内陸部の動植物ですら一網打尽にされたのです。
また落下の衝撃で高く打ち上げられた膨大な数の巨大な岩石が、重力によって再び地上に引き寄せられ、地球規模で「死の雨」を降らしました。
これらはただの岩石ではなく、強烈な熱エネルギーを持っており、一つ一つが核爆弾並みの威力を地上に与えたとされています。
さらに悲劇は続きます。
上空に巻き上げられた大量の粉塵や硫黄が分厚い黒雲を生み出し、風に運ばれることで地球全体を覆ってしまったのです。
これにより地上へ届く太陽光が激減し、今度は急激に地球の気温が低下に転じました。
一説では最大で20℃以上も寒冷化し、この異常気象は30年以上も続いたと推定されています。
太陽光がなくなることで植物の光合成もストップするので生態系が崩壊し、食物連鎖のバランスも崩れて、多くの生物が食糧難に陥りました。
こうした急激な環境変化に適応できなかった恐竜たちはほぼ全ての種が絶滅。
他の動植物たちも一部を除いて、大半が絶滅に追い込まれたのです。
ではこの恐るべき脅威が現代に起きた場合、人類はどんな対策を講じることができるのでしょうか?