二枚貝の中に棲む「新種ヨコエビ」を発見
三重県・菅島の沿岸で行われた生物調査のさなか、研究グループの一人が二枚貝「ウスユキミノ(学名:Limaria hirasei)」を採集しました。
このウスユキミノは、日本近海の海底に生息する、ごく普通の二枚貝の一種です。
しかし、その触手や外套膜をよく観察すると、そこに小さなヨコエビ類(甲殻類端脚目の一群)が寄り添って暮らしているのを発見しました。
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この小さなヨコエビは、世界中で159種以上が知られるマルハサミヨコエビ属の仲間。
通常、この仲間はホヤやカイメンのような生物と共生することが多く、二枚貝と共に暮らす例はほとんど報告されていません。
「日本国内で、二枚貝に共生するマルハサミヨコエビ属は今まで見つかっていない」
研究者たちはそう考え、採集した個体の“正体”を突き止めるため、細かな形態観察やDNA解析を進めました。
するとこのヨコエビは、既知のどの種とも一致しないことが判明しました。
特に、近縁種である「アカイセンマルハサミヨコエビ」と比べてみても、体の特徴や遺伝子配列に7カ所もの違いがあることが明らかになったのです。
こうして、この小さなヨコエビは“新種”として認められ、新たに学名「Leucothoe limidicola」(和名:ユキミノノマルハサミヨコエビ)と命名されました。