ゲームの女性キャラをセクシーにしても女性蔑視にはつながらないと判明
ゲームにおいて女性キャラクターはしばしば「薄着すぎる」服を着てセクシーさが演出されます。
ゲーム機の性能があがるにつれて、それらの演出はよりリアルになり、キャラクターの姿や顔だちも本物の人間のように描かれるようになってきました。
そのため近年になって、ゲームに描かれる女性キャラクターのセクシーさが、現実世界の女性に悪影響を与えると主張する人々が増えはじめました。
彼らの主張によれば、ゲームに登場する女性キャラの多くは理想的な姿をセクシーな服で演出されることが多く、ゲームキャラとの比較で女性プレーヤーの心に傷がつき、自己肯定感や自らの体に対する満足感を低下させる危険性があるだけでなく、女性差別や女性蔑視を引き起こし、最悪の場合、うつ病や不安障害を発症させる危険性がある、とのこと。
そのため彼らは、ゲームに登場する女性キャラの服装を検閲し、プレーヤーの心を守る処置が必要であると結論しています。
多分にバイアスのかかった主張ではあるものの、類似した「ゲームが社会問題の原因」とする見解は古くから繰り返されてきました。
たとえば「暴力的なゲームをすると暴力犯罪者になる」という主張は、多くの人々が一度は聞いたことがあるものでしょう。
近年に行われた複数の研究では、ゲーム世界での暴力が現実世界での暴力性にはつながらないことが示されています。
例えば以下の研究では大ヒットした「GTA5」を使って、ゲームの暴力性が人間の心に与える長期的な影響について調べられました。
しかし「女性キャラのセクシーさがプレイヤーの心に傷を与えるか」を調べようとする研究者は極めて少なく、研究規模も小さなものばかりとなっていました。
そこで今回、ステッソン大学の研究者たちは、これまで行われた18の研究をまとめて、ゲームによってプレーヤーの幸福感の低下やうつ病や不安などの精神的な悪影響が起こるか、またゲームによりプレーヤーに女性差別的な態度が増加するかどうかを調べました。
結果、全く何の関係もないことが判明します。
セクシーなキャラと幸福度や自己肯定感、体に対する不満がどれだけ相関しているかを示すスコアは「0.082」であり、女性差別や女性嫌悪との関連に至っては「0.040」となっていました。
この数値は「1」に近いほど正の相関性(例えば正比例)が強く「0」では全く相関せず「-1」に近いほど負の相関(例えば逆比例)にあることを示します。
そのため「0,082」や「0.040」といった「0」に限りなく近い数値では、ほぼ関係なしとみなされます。
これらの結果から研究者たちは、ゲームの女性キャラクターがセクシーであっても、プレイヤーの精神状態が悪化したり、女性差別・女性蔑視的な態度が増加することもないと結論しました。
そうなると気になるのが、なぜ社会問題がおこるたびに、ゲームが原因と主張する人々が現れるのか? という点です。