日本初の「二枚貝に共生するヨコエビ」

今回発見されたユキミノノマルハサミヨコエビは、世界でも6例目、日本初となる「二枚貝と共生するマルハサミヨコエビ属」です。
これは、進化の過程で“宿主”がどのように変化していくのか――すなわち「宿主転換」の進化ドラマを解き明かす上でも貴重な一例となりました。
たとえば、近縁種であるアカイセンマルハサミヨコエビはサンゴ礫やカイメンなどと共生する種です。
一方で、今回の新種は二枚貝と共生していました。
この違いから「自由生活性やカイメン共生性から、二枚貝共生性への移行」が、種の分化に影響した可能性が浮かび上がります。
身近な海底で進化の柔軟さと多様性が生まれている、その事実に研究者も驚きを隠せません。
また、マルハサミヨコエビ属は近年日本各地で続々と新種が見つかっており、「まだ誰も見つけていない生き物が、ごく身近な場所に潜んでいるかもしれない」と語る研究者もいます。
今回の発見は、私たちの生活圏に隠れた“未発見の生物多様性”の奥深さを物語っています。