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Credit: canva
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AIをよく使う人ほど「自分は賢い」と過大評価しやすくなる

2025.11.18 12:00:05 Tuesday

今や多くの人が仕事や勉強、日常の疑問解決にAIチャットボットを活用しています。

膨大な知識をもとに、瞬時に答えを返してくれるAIは本当に頼もしい存在です。

しかし実は「AIをよく使う人ほど、自分の力を過大評価しやすくなる」という現象があることが、フィンランド・アールト大学(Aalto University)の最新研究でわかってきました。

研究の詳細は2025年10月27日付で学術誌『Computers in Human Behavior』に掲載されています。

The more that people use AI, the more likely they are to overestimate their own abilities https://www.livescience.com/technology/artificial-intelligence/the-more-that-people-use-ai-the-more-likely-they-are-to-overestimate-their-own-abilities AI use makes us overestimate our cognitive performance https://www.eurekalert.org/news-releases/1103616
AI makes you smarter but none the wiser: The disconnect between performance and metacognition https://doi.org/10.1016/j.chb.2025.108779

AIを使うと自信過剰になる?

人は自分の能力を正確に見積もるのが苦手です。

特に「自分は平均よりちょっと上」と考えがちで、これを心理学では「ダニング=クルーガー効果」と呼びます。

この心理効果は具体的にいうと、能力が低い人ほど自信過剰になりやすく、逆に優秀な人ほど自分を過小評価しがちという現象です。

しかしアールト大学を中心とした国際研究チームが行った最新の実験で、この常識がAIの世界では通用しないことがわかってきました。

実験では、約500人の参加者に難しい論理パズル(アメリカのロースクール進学試験で出される問題)を解いてもらい、その半分はAIチャットボット「ChatGPT」を使うことができました。

その後、参加者全員に「自分はどれくらい上手くできたか」を自己評価してもらいます。

その結果、AIを使ったグループでは、全員が自分のパフォーマンスを大幅に過大評価していたのです。

しかも「AIリテラシーが高い」と自負する人、つまりAIを使い慣れている人ほど、より強く「自分はうまくやれた」と思い込みやすい傾向が現れました。

AIを活用すると一見正解率が上がるように見えますが、その“結果”だけを見て「自分の力」と錯覚してしまう――そんなワナにはまる人が増えていたのです。

次ページなぜAIを使うほど、自分を過大評価してしまうのか?

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