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history archeology

実在した「ホビット族」が5万年前に絶滅した理由を解明

2025.12.10 17:00:29 Wednesday

小説『指輪物語』に登場する小柄な種族・ホビット。

実はインドネシアのフローレス島にはかつて、ホビットと同様に非常に小柄なヒト属が暮らしていました。

それが「ホモ・フローレシエンシス(Homo floresiensis)」です。

彼らは同島で100万年以上にわたり繁栄していましたが、約5万年前に姿を消します。

この突然の消失は大きな謎となっていますが、このほど、豪ウーロンゴン大学(UOW)らの最新研究で、数千年におよぶ極度の干ばつが原因であることがわかりました。

研究の詳細は2025年12月8日付で科学雑誌『Communications Earth & Environment』に掲載されています。

The ‘hobbits’ may have died out when drought forced them to compete with modern humans, new research suggests https://www.livescience.com/archaeology/human-evolution/the-hobbits-may-have-died-out-when-drought-forced-them-to-compete-with-modern-humans-new-research-suggests The ‘hobbits’ mysteriously disappeared 50,000 years ago. Our new study reveals what happened to their home https://phys.org/news/2025-12-hobbits-mysteriously-years-reveals-home.html#goog_rewarded
Onset of summer aridification and the decline of Homo floresiensis at Liang Bua 61,000 years ago https://doi.org/10.1038/s43247-025-02961-3

インドネシアのホビット族が絶滅した理由とは?

ホモ・フローレシエンシスは、身長わずか1メートル前後と小柄な体格にもかかわらず、石器を作り、狩猟を行っていました。

彼らの骨と石器は、フローレス島の奥地にあるリアン・ブア(Liang Bua)洞窟でのみ発見されています。

なぜ彼らが絶滅したのかを解明するため、研究チームは洞窟内にある石筍(せきじゅん)に着目しました。

石筍は、洞窟の天井から滴る水に含まれるミネラルが堆積して成長する構造物であり、その化学組成には、過去の気候変動の記録が閉じ込められています。

チームは、石筍の層に含まれるマグネシウムと炭酸カルシウムの比率を測定することで、正確な過去の降水量を復元することに成功。

その結果、明らかになったのは劇的な気候変化の歴史です。

・約7万6000年前まで:今日よりも湿潤な環境。

・約7万6000年~6万1000年前:季節性が強い「黄金時代」の気候。小型ゾウが繁栄。

・約6万1000年~5万年前:気候が急激に乾燥化。年間降水量は大幅に減少し、数千年続く極度の干ばつに突入。

獲物の絶滅と連鎖的な危機

この干ばつは、小人族の生存基盤を根本から揺るがしました。

彼らの主要な獲物の一つは、小型のゾウの近縁種であるステゴドンでした。

チームはステゴドン化石の調査により、降水量減少の時期とステゴドンの個体数減少の時期が完全に一致することを発見しました。

研究者たちは、降水量の減少により、乾季の水源であった川が枯渇したと考えました。

水と食料を失ったステゴドンは、島の内陸部からより安定した水源、すなわち沿岸部へと移動を開始します。

そして、ホビットたちも、狩りを続けるためにその獲物を追わざるを得なかったのです。

降水量の減少、ステゴドンの個体数減少、そしてリアン・ブアからのホビットの放棄。

これらが同時に起こったことは、資源の枯渇が彼らの絶滅に決定的な役割を果たしたことを示唆しています。

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