常連さんがいるコメント欄は荒れやすい?

ネットのコメント欄に、いつも同じ顔ぶれが居座っていると思ったことはないでしょうか?
たとえばニュースサイトの記事についてのコメント欄を思い浮かべてみてください。
よく登場する「常連さん」の投稿ばかりが目につき、多くの利用者は結局読むだけで書き込まない—そんな光景に見覚えがある人も多いのではないでしょうか。
実際、この現象は以前から指摘されてきました。
オンラインのディスカッションではごく一部の積極的なユーザーが議論を牽引し、大多数は沈黙に回る傾向があるとされています。
そして困ったことに、この不均衡によって世論の見え方が歪められ、社会の分断(極端な対立)が進む可能性もあると考えられています。
声の大きな常連ほど意見が過激になりやすいという報告もあり、コメント欄ばかり見ていると「みんなこんな極端なことを考えているのか」と誤解してしまう恐れがあります。
しかもSNSはattention economy(注目の奪い合い)の世界です。
強い言い方ほど目に入りやすく、反応も集まりやすい傾向があります。
すると、過激さや攻撃性が“得”になる場面が出てきます。
荒れている場所は、普通なら人が離れて静かになりそうです。
ところが経験的には、荒れた場所ほど、むしろ書き込みが増えるようにも見えます。
黙る人が増えるのに、残った少数はますます目立つという逆転現象が起こるのです。
この現象は、沈黙の螺旋(少数派だと思うと黙るという考え方)にも似ています。
周りが怖いと、普通の人は声を引っ込めます。
その結果、残った声が「多数派」に見えてしまい、さらに黙る人が増える。
もしコメント欄でこれが起きているなら、私たちが見ている“空気”は、かなり偏ったものになります。
ところが、オンライン政治談議において誰が「見る専門(=ロム専)」になり、誰が「投稿魔」になるのか、その違いを決定づける要因はこれまでよく分かっていませんでした。
そこで今回研究者たちは、読むだけの人も含めて最初から集め、同じ条件で議論の場に入れて、誰が黙り、誰が常連になるのかを前向きに確かめました。
もし「毒」が本当に常連を増やすなら、私たちが“世論”だと思って見ているコメント欄は、いったい何を映しているのでしょうか。



























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