なぜ子どもが生まれない行動が進化で残るのか

動物の性行動というと子孫(しそん)を残すためだけのものと思われがちですが、野生動物では1,500種以上でこうした同性どうしの性行動が観察されています。
たとえばボノボという類人猿は、性行動を通じて平和を保つサルの代表格のように紹介されることもあり、雌同士で性行動を通じて仲直りする習性(ホカホカと呼ばれる)があるとされます。
とはいえ、このような“同性どうしのイチャつき”が具体的にどんな役に立っているのか、長らく謎でした。
動物の世界で見られる同性間性行動(同じ性別どうしの性行動)は、かつては「ダーウィンのパラドックス(進化論の矛盾)」と呼ばれてきました。
子孫を残せない行為は自然淘汰(生存競争)で不利になるはずだ、と考えられていたからです。
しかし近年の研究で、この“寄り道”にも生物なりのメリットがある可能性が浮上してきました。
たとえばオス同士で交尾を行うオスザルは同盟を組んで他のオスを押さえ込み、最終的により多くのメスと交尾できる可能性がある――そんな観察結果も報告されています。
さらに、オスのアカゲザルでは同性間の性行動がどれくらい家系に乗っているかも調べられていて、その“遺伝の割合”はおよそ6%強と推定されています。
つまり少しだけ生まれつきの要素もありつつ、多くはそのときの環境や社会の状況で変わりうる行動だと考えられています。
また別の研究では、群れの緊張を和らげたり絆を強めたりする効果があるのではないか、と指摘されることもありました。
しかし霊長類全体を通じて、この行動がどれだけ広がり、どんな条件で起きやすいのかを体系的に調べた例はほとんどありませんでした。
(※人間の同性愛の遺伝率は双生児研究ではだいたい男性では34〜39%で女性では18〜19%くらいが遺伝要因と推定されるとされています)
そこで今回、インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究チームは、霊長類の大規模なデータ分析によってこの謎に挑みました。
もし本当に「同性どうしでイチャつく」ことが社会の役に立っているなら、どんな環境や社会を持つサルでその行動が多いのでしょうか?
本当に「地獄みたいな環境ほど、サルは同性愛に走る」──そんな逆説めいた傾向は、あり得るのでしょうか?
























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