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血の滝 / Credit:Wikipedia Commons
geoscience

南極の「血の滝」のメカニズムを解明

2026.03.27 11:30:48 Friday

南極大陸のヴィクトリアランドには、氷河から血が流れているような現象が見られます。

この「血の滝」のメカニズムは長年謎のままでした。

今回、アメリカ・ルイジアナ州立大学(LSU)などの研究チームは、氷河の動き、血の滝の流出、近くの湖の変化を同時に観測することで、この奇妙な現象の仕組みに迫りました。

研究の結果、血の滝は氷河の下にある高圧の塩水が外へ放出される現象だと考えられることが示されました。

この研究は2026年1月13日付の学術誌『Antarctic Science』に掲載されました。

New Study Finally Reveals the Mystery of Antarctica’s Bleeding Glacier https://www.zmescience.com/science/news-science/new-study-finally-reveals-the-mystery-of-antarcticas-bleeding-glacier/
Glacier surface lowering and subglacial outflow coincide with Blood Falls discharge in the McMurdo Dry Valleys https://doi.org/10.1017/S0954102025100527

南極の「血の滝」とは?研究者たちが重要な変化を観察

「血の滝」とは何でしょうか。

この現象は南極のテイラー河の末端で見られ、氷の白い表面に赤い液体が流れ出るというものです。

しかしこれは本当の血ではなく、鉄を多く含む塩が空気に触れて酸化し、赤く見えている現象です。

ここで最大の謎だったのは、「なぜこの液体が流れるのか」という点でした。

南極のような極寒の環境では、水は普通なら凍ってしまいます。

ところが血の滝では、液体がときどき外へ流れ出てきます。

しかも、いつも流れているのではなく、ある時期にまとまって現れるため、その仕組みやタイミングは長くはっきりしていませんでした。

これまでの研究では、テイラー氷河の下に非常に塩分の高い塩水があり、それが流れる地下の通り道もあると示されていました。

塩分が高い水は凍りにくいため、極寒の南極でも液体として残ることができます。

ただ、それだけでは「なぜ急に流れ出すのか」は説明しきれませんでした。

そこで今回の研究では、複数の観測方法を組み合わせて、血の滝が現れる瞬間に何が起きているかを調べました。

研究チームはまず、氷河の表面に設置したGPSで、氷河の高さや移動速度の変化を測定。

次に、定点カメラで血の滝の流出がいつ起きたのかを記録しました。

さらに、氷河の前にあるボニー湖では、水深ごとの水温を温度センサーで連続測定しました。

こうして、氷河の動き、血の滝の流出、湖への影響を同時に見られるようにしたのです。

そして2018年、これらの観測が重要な出来事をとらえました。

血の滝の流出が始まった時期に合わせて、氷河の表面が約15ミリ低くなり、氷河の移動速度もおよそ10%下がっていました。

さらに、湖の深い場所では急に水温が下がる異常も記録され、冷たい塩水が流れ込んだことが示されました。

つまり、血の滝の流出、氷河の沈下、氷河の減速、湖の変化が同じ時期に起きていたのです。

では、なぜこうしたことが同時に起きたのでしょうか。

次ページ血の滝は氷河下の圧力変化を示すサインだった

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