南極の「血の滝」とは?研究者たちが重要な変化を観察
「血の滝」とは何でしょうか。
この現象は南極のテイラー氷河の末端で見られ、氷の白い表面に赤い液体が流れ出るというものです。
しかしこれは本当の血ではなく、鉄を多く含む塩水が空気に触れて酸化し、赤く見えている現象です。
ここで最大の謎だったのは、「なぜこの液体が流れるのか」という点でした。
南極のような極寒の環境では、水は普通なら凍ってしまいます。
ところが血の滝では、液体がときどき外へ流れ出てきます。
しかも、いつも流れているのではなく、ある時期にまとまって現れるため、その仕組みやタイミングは長くはっきりしていませんでした。
これまでの研究では、テイラー氷河の下に非常に塩分の高い塩水があり、それが流れる地下の通り道もあると示されていました。
塩分が高い水は凍りにくいため、極寒の南極でも液体として残ることができます。
ただ、それだけでは「なぜ急に流れ出すのか」は説明しきれませんでした。
そこで今回の研究では、複数の観測方法を組み合わせて、血の滝が現れる瞬間に何が起きているかを調べました。
研究チームはまず、氷河の表面に設置したGPSで、氷河の高さや移動速度の変化を測定。
次に、定点カメラで血の滝の流出がいつ起きたのかを記録しました。
さらに、氷河の前にあるボニー湖では、水深ごとの水温を温度センサーで連続測定しました。
こうして、氷河の動き、血の滝の流出、湖への影響を同時に見られるようにしたのです。
そして2018年、これらの観測が重要な出来事をとらえました。
血の滝の流出が始まった時期に合わせて、氷河の表面が約15ミリ低くなり、氷河の移動速度もおよそ10%下がっていました。
さらに、湖の深い場所では急に水温が下がる異常も記録され、冷たい塩水が流れ込んだことが示されました。
つまり、血の滝の流出、氷河の沈下、氷河の減速、湖の変化が同じ時期に起きていたのです。
では、なぜこうしたことが同時に起きたのでしょうか。





























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