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ある3分動画が人種差別を軽減する。ヒントはこの画像。 / Credit:Canva
psychology

ある「3分動画」を視聴するだけで人種差別の傾向が軽減する

2026.04.03 11:30:37 Friday

人種差別は依然としてなくなっていません。

時代が進んでも、人は自分と異なる集団に対して無意識の距離を置いたり、判断に偏りを持ったりすることがあります。

そんな中、アメリカのクレアモント大学院大学(CGU)の研究チームは、ある短い動画を見るだけで、黒人に対する偏見や行動の傾向がやわらぐ可能性を調べました。

その動画は、心拍の変動から推定した“没入度”が最も高いものとして選ばれており、少なくとも2週間は効果の継続が確認されました。

この研究は2026年2月19日付で学術誌『PLOS ONE』に掲載されています。

Scientists use brain measurements to identify a video that significantly lowers racial bias https://www.psypost.org/scientists-use-brain-measurements-to-identify-a-video-that-significantly-lowers-racial-bias/
A video intervention reduces racial bias in a representative sample of US adults: A brain as predictor study https://doi.org/10.1371/journal.pone.0339057

「3分の動画」が偏見を無くす

人には、自分と同じ集団を好み、外の集団を警戒しやすい傾向があります。

こうした傾向は、現代社会では差別や分断、不公平な判断の原因になります。

偏見を減らす方法としては、異なる集団どうしが実際に交流する方法が有効だとされてきました。

ですが、それを大勢の人に広げるのは簡単ではありません。

時間も費用もかかるからです。

そこで研究チームが注目したのが、誰でも見られる短い動画でした。

インターネット上の動画なら広く届けやすく、もし本当に効果があるなら、偏見をやわらげる手段として大きな可能性があります。

まず研究チームは62人に、人種差別の悪影響を扱った5本の短い動画を見せました。

このとき前腕にセンサーを装着し、心拍の変動から、どの動画に最も強く引き込まれたかを示す「Immersion(没入度)」を推定。

平均的な反応だけでは差が出ませんでしたが、感情が大きく動いた場面の強さを示す「ピークの没入度」で最も高かった動画が選ばれました。

選ばれたのは、黒人宇宙飛行士ロナルド・マクネイア氏の人生を描いたアニメーション『Eyes on the Stars』です。

子どもの頃に人種差別を受けながらも学び続け、のちにマサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号を取得し、NASAの宇宙飛行士になった人物です。

動画は兄カール・マクネイアの語りで進みます。

以下からその動画を確認できます。

そして次の実験では、アメリカ成人の代表サンプル1097人を対象に、この動画の効果を調べました。

参加者は、『Eyes on the Stars』の動画を見るグループと、自然風景と音楽の中立的な動画を見るグループに分けられます。

その後、黒人に対する態度を測る質問票と、お金の分け方を選ぶゲームに答えてもらいました。

結果、動画を見たグループでは、黒人に対する態度バイアスが平均11%改善し、黒人名の相手に対する寛大さは104%増加しました。

3分の動画を見ただけで、これほど大きく変化するのはなぜでしょうか。より詳細な結果をみてみましょう。

次ページ黒人宇宙飛行士の「生涯」を追体験すると、黒人をより身近な存在に感じる

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