有害なリーダーは、なぜ人を消耗させるのか
今回の研究の中心にあるのは、「職場で人を元気づけるリーダーとは何か」を科学的に測る試みです。
研究チームは、リーダーの行動を、部下を消耗させるものから、部下に活力を与えるものまでの幅で捉えました。
その中で、有害なリーダーの存在は、活力を与えるリーダーと対照的なものとして扱われています。
有害なリーダーとは、必ずしも怒鳴り散らすような極端な上司だけを指すわけではありません。
たとえば、部下の話をよく遮る、貢献を見過ごす、成長の機会を狭める、周囲に不安や緊張を生むといった行動も、人をじわじわと消耗させます。
こうした行動は、一つひとつを見ると「少し嫌な上司」程度に見えるかもしれません。
しかし、毎日くり返されると、職場そのものが安心して力を出せる場所ではなくなっていきます。
研究では、273人の従業員を対象に、上司の行動と部下のウェルビーイングとの関係が調べられました。
ウェルビーイングとは、単なる気分の良し悪しではなく、感情、仕事への没入、人間関係、仕事の意味、達成感、前向きな考え方、身体的な健康感などを含む、より広い「心身の充実度」のことです。
その結果、有害なリーダーのもとで働く人ほど、こうしたウェルビーイングの複数の側面が低くなる傾向が見られました。
特に、前向きに考える余裕や身体的な健康感との関係は大きいものでした。
つまり、有害なリーダーの問題は、単に「職場の雰囲気が悪い」という話にとどまりません。
人は、安心して働けない環境にいると、仕事の楽しさや意味を感じにくくなります。
本来なら成長や達成を感じられるはずの仕事が、いつの間にか「ただ耐えるもの」に変わってしまうのです。
こうした広がりは、「感情の伝染」という考え方でも理解できます。
これは、不安や緊張、安心感といった感情が、日々のやり取りを通じて周囲に広がっていく現象です。
不機嫌な上司がいるとチーム全体がピリピリします。
リーダーの態度は、本人が思っている以上に周囲へ伝わり、職場全体の心理的な余力を左右しているのです。
では逆に、周囲を元気づけるリーダーは何が違うのでしょうか。



























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