観光地の海に潜んでいた猛毒のクラゲ
ハコクラゲは、名前の通り箱のような傘を持つクラゲの仲間です。
その中でも「キロネックス属(Chironex)」は、インド太平洋の熱帯域などで深刻な刺傷事故や死亡例に関わってきたことで知られています。
触手には刺胞と呼ばれる小さな毒針のような構造があり、獲物に触れると毒を注入します。
しかも、この仲間は多くのクラゲのように海流に流されるだけではありません。
傘の下部にある筋肉質のひだを使って能動的に泳ぎ、複雑な眼で周囲をとらえながら獲物に近づくことができます。
今回見つかったキロネックス・ブラカンマティ(Chironex blakangmati)は、シンガポール島の南にあるセントーサ島の海岸で採集されました。

セントーサ島は現在「平和と静けさ」を思わせる名前で知られていますが、かつてはマレー語で「プラウ・ブラカン・マティ(Pulau Blakang Mati)」と呼ばれていました。
これは「背後の死の島」という意味を持つ歴史的な名前です。
新種名のブラカンマティ(blakangmati)は、この旧名に由来しています。
リゾート地の穏やかな海で見つかった生き物に、「死の島」の名が刻まれたという点は、何とも皮肉めいた発見です。
ただし、ここで注意したいのは、この新種そのものによる死亡事故が確認されたわけではないという点です。





















































