そっくりなクラゲをDNAと体の構造で見分けた
実は、このクラゲは最初から新種だと分かっていたわけではありません。
見た目は、沖縄などで知られる「キロネックス・ヤマグチ(Chironex yamaguchii)」によく似ていました。
研究者自身も、研究中に沖縄でC. ヤマグチを発見しており、今回の個体がそれと非常によく似ていることに気づいていました。
しかし詳しく調べると、両者は別種だと分かりました。
決め手になったのは、DNA解析と体の細かな構造の違いでした。
形態観察では、傘の下部にある管状構造や他の部位にも違いが見つかっています。
【新種クラゲの体の構造の図解イメージがこちら】
チームはまた、通常はタイ沿岸で知られる別種(Chironex indrasaksajiae)もシンガポール海域で確認しました。
これは、この種の分布がこれまで考えられていたより広い可能性を示す発見です。
シンガポールの海では過去にもハコクラゲによる重い刺傷事故が報告されており、どの種がどの海域に現れるのかを把握することは、安全対策に直結します。
今回の研究は、見えにくく、見分けにくく、しかし人間にとって無視できないハコクラゲの正体を一歩ずつ明らかにするものです。
透明な海の中にも、まだ名前すら与えられていなかった危険な生物が潜んでいるのです。
シンガポール近海で見つかった新種クラゲは、海の美しさと危うさが、いつも同じ水面の下に同居していることを教えてくれます。





















































