週150分の運動は確かに心臓に良い
健康のために「週150分以上の運動」をすすめる言葉は、今や多くの人に知られています。
ここでいう運動とは、ゆっくり散歩する程度ではなく、心拍数がある程度上がる中高強度の身体活動です。
例えば、速歩、ランニング、サイクリングなどが含まれます。
しかし、この150分という数字は、全員にとって同じ意味を持つのでしょうか。
同じ時間だけ運動しても、心臓や肺、筋肉の働き方は人によって違います。
若い頃から運動してきた人と、長年あまり動いてこなかった人では、同じ30分の速歩でも体への意味が変わるはずです。
また150分以上運動した場合、どんな影響があるのでしょうか。
こうした疑問に答えるため、研究チームは、単に「何分運動したか」だけでなく、「その人の心肺持久力がどれくらいあるか」も合わせて調べました。
心肺持久力の指標として使われたのが、VO₂max、つまり最大酸素摂取量です。
これは、強い運動中に体がどれだけ酸素を取り込み、利用できるかを示す値で、心臓・肺・筋肉の総合的な働きを反映します。
研究では、英国バイオバンクに参加した1万7088人のデータが分析されました。
参加者は2013〜2015年のあいだに、手首に活動量計を7日間装着し、実際にどれくらい中高強度運動をしているかを測定されました。
その後、中央値で7.85年にわたって追跡し、心房細動、心筋梗塞、心不全、脳卒中といった心血管イベントがどれくらい起きたかを調べました。
追跡期間中には、合計1233件の心血管イベントが確認されています。
結果として、同じ体力レベルでほとんど運動しない場合と比べると、週150分の運動基準を満たした人では、心血管リスクが約8〜9%低いと推定されました。
これは体力の高い人にも低い人にも見られたため、週150分という基準が無意味だったわけではありません。
むしろ、心臓を守るための「誰にでも通用しやすい最低ライン」としては、しっかり機能していたのです。
ただし、より大きなリスク低下を目指す場合、関連していた運動量は150分を大きく超えていました。
より詳しい結果を次項で確認しましょう。


















































