1億年前の虫は『カニのハサミ』を持っていたと判明
1億年前の虫は『カニのハサミ』を持っていたと判明 / Credit: Haug et al., 2026 / Insects / CC BY 4.0
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1億年前の虫は『カニのハサミ』を持っていたと判明

2026.05.28 17:30:35 Thursday

ドイツのミュンヘン大学(LMU)などで行われた研究によって、約1億年前の琥珀から「カニのハサミ」を前足に持つ昆虫の化石が発見されました。

昆虫は100万種以上に及ぶ膨大な種類がいますが、カニのようなの本当のハサミ(鋏脚)を持つ昆虫はこれまで3タイプのみで、さらに本当のハサミが化石状態の昆虫で確認されたのは、世界で初めてと述べています。

また興味深いことに、これまで知られている2107点もの昆虫や甲殻類のハサミと比較した結果、この新種のハサミの形は他に類を見ないユニークなものであることがわかりました。

1億年前の虫たちは、カニのハサミをどのような方法で手に入れたのでしょうか?

研究内容の詳細は2026年4月17日に学術誌『Insects』にて発表されました。

Paleobiology: fossil true bug with remarkable claws https://www.lmu.de/en/newsroom/news-overview/news/paleobiology-fossil-true-bug-with-remarkable-claws-2c8ffe1e.html?utm_source=chatgpt.com
A True Bug with a True but Unique Chela in 100 Million-Year-Old Amber † https://doi.org/10.3390/insects17040431

昆虫のハサミに見える大部分は実は「折り畳みナイフ」

1億年前の虫は『カニのハサミ』を持っていたと判明
1億年前の虫は『カニのハサミ』を持っていたと判明 / Credit: Haug et al., 2026 / Insects / CC BY 4.0

皆さんは「ハサミを持つ虫」と聞いて、まず思い浮かぶのはハサミムシではないでしょうか。

その名のとおり、お尻の先端にしっかりとした”ハサミ”がついた、ちょっと変わった見た目の小さな虫です。

ところが、ハサミムシのあのトレードマークのハサミ、実は脚ではありません。

お尻の先端にある特殊な突起(尾鋏:びきょう)が、ハサミのような形に進化したものなのです。

つまり今回の研究のテーマである「前足のカニ型ハサミ」とは、ぜんぜん別の話です。

そう言われると、クワガタムシの立派な大顎(おおあご)も「あれはハサミなのでは?」と思うかもしれません。

でもあれは、口のまわりの顎(あご)が大きく発達したもの。

これもまた、脚ではありません。

つまり「昆虫の前足が、カニのハサミみたいな形に進化する」というのは、それだけで実はかなり珍しい現象なのです。

では、「前足で獲物を挟む昆虫」というと、何が思い浮かぶでしょうか?

たとえばタガメ。

日本最大の水生昆虫で、太い前足でカエルや小魚までガッチリ捕まえて食べてしまう、まさに「水の中の暴れん坊」です。

タガメが獲物に襲いかかる瞬間、両側から太い前足をガシッと組み合わせる姿は、まるでカニが大きなハサミで獲物を捕らえているかのよう。

ところが──タガメの前足も、厳密に言うと「ハサミ」ではないのです。

よく観察すると、タガメの片方の前足は、折りたたみナイフのように、上半分と下半分がパタンと折りたたまれる仕組みになっています。

ハサミというより腕の曲げに近い動作で獲物を捕らえるわけです。

一方、カニやロブスターのハサミは違います。

1本の脚そのものに、根元のほうにも”固定の指”がしっかり突き出ていて、もう一方の”動く指”と向かい合ってパチンと閉じます。

指と指が正面でかみ合う真のハサミです。

論文では本物の「ハサミ」と「折りたたみナイフ」を区別する、シンプルなルールがあります。

文房具のハサミのように、動く指が前方に向かって閉じるのが本物のハサミ(鋏脚)。

ポケットナイフのように、動く指が手前にパタンと倒れるのが折りたたみナイフ式(亜鋏型)。

動く部分があくまで腕の前方にあるか、腕のほうまで回り込んで来るかの違いとも言えます。

「どちらも結局は挟むのだから両方ハサミでいいのでは?」と思うかもしれませんが、真のハサミはあくまでハサミ部分でつかみ、偽物のハサミは腕を使ってつかむという点で大きく異なります。

地球上には100万種以上の昆虫がいると言われていますが、その膨大な顔ぶれの中で、本物の「ハサミ」を備えているとされるグループは、これまで以下の3つだけでした。

アザミウマの仲間 ── メスだけがハサミを装備

カマバチの仲間 ── こちらもメスだけ

カニカメムシの仲間 ── 待ち伏せ型の小さなハンター

加えて著者らも自分たちが知る限り、化石からカニ型のハサミ(鋏脚)を持つ昆虫が発見されたことは、これまでにないと述べています。

しかし1億年前の琥珀に例外が潜んでいました。

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