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※ 画像はイメージです/ Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
biology

深海の巨大グソクムシが「数年間も絶食状態」で生きられる秘密を解明

2026.06.08 17:00:52 Monday

水族館の人気者として知られるオオグソクムシ属は「なかなか餌を食べない生き物」としても有名です。

深海に暮らす彼らの仲間は、餌がいつでも手に入る環境にはいません。

それにもかかわらず、体は大きく、数年にわたる絶食にも耐えられることがあります。

大きな体を維持するには多くのエネルギーが必要なはずなのに、なぜ餌の少ない深海で生き続けられるのでしょうか。

中国科学院海洋研究所(IOCAS)の研究チームは、深海性の巨大等脚類を詳しく調べ、この不思議な省エネ生活の仕組みを調査。

その結果、主に2つのシステムがグソクムシの絶食状態を支えていました。

それを簡単にいうと「巨大な胃による食いだめ」「極端な低代謝による省エネ」です。

研究成果は2026年6月5日付で科学誌『Cell』に掲載されています。

Deep-sea supergiant isopods last years without food by using a two-part survival system https://phys.org/news/2026-06-deep-sea-supergiant-isopods-years.html
Deep-sea megafauna co-opts microbial energy metabolism genes to withstand ultra-long starvation https://doi.org/10.1016/j.cell.2026.05.012

何も食べずに生きられる仕組みとは?

オオグソクムシ属(Bathynomus)の仲間は、海底に沈んできた動物の死骸などを食べる深海の掃除屋として知られています。

しかし深海では、そのような餌が毎日都合よく降ってくるわけではありません。

一度のごちそうに出会えるかどうかは運に左右され、次の食事まで長い時間が空くこともあります。

そこで研究チームは、

・水深約898メートルに生息する「バチノムス・ジェームシ(Bathynomus jamesi)」

・水深約300メートルに生息する「バチノムス・ドエデルレイニ(Bathynomus doederleini)」

を対象に、体のつくり、代謝、行動、ゲノム、胃の中の微生物まで幅広く調べました。

その結果見えてきたのは、非常にシンプルで強力な戦略です。

それは、いわば「収入を増やし、支出を減らす」というものです。

ここでいう収入とは、餌を得たときに体内へ取り込めるエネルギーです。

そして支出とは、普段の生命活動で消費するエネルギーです。

研究によると、深海性の巨大等脚類の胃は体全体のおよそ3分の2を占めるほど大きくなっていました。

これは浅い海や潮間帯に暮らす近縁の等脚類と比べても、かなり大きな特徴です。

つまり彼らは、餌に出会ったときに一気に食べ込み、巨大な胃を貯蔵庫のように使っている可能性があります。

さらに、胃の中身を調べると、細かくすりつぶされ、かなり消化が進んだ泥のような内容物が見つかりました。

ただし、そこに多く見られたのは、一般的な消化細菌ばかりではありませんでした。

ファーミキューテス門のような消化に関わる細菌の割合は比較的低く、代わりに脂質の貯蔵と関係するクラミジア門が多く含まれていました。

これは、食べたものをすぐに使い切るのではなく、長い時間をかけて少しずつ利用する仕組みがあることを示唆しています。

しかも彼らは、ただ大食いなだけではありません。

基礎代謝率が非常に低く、普段のエネルギー消費そのものを強く抑えていることもわかりました。

人間で言えば、大きな冷蔵庫に食料を詰め込み、その後は家中の電気をほとんど消して暮らすようなものです。

深海の巨大等脚類は、餌を得られるときには大量に取り込み、餌がない期間には極端な低燃費モードに入ることで、数年単位の絶食に耐えていると考えられます。

次ページ細菌から取り込んだ遺伝子が「代謝を操っていた」

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