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覚醒した脳の一部で、睡眠の回復効果を誘発 / Credit:Canva
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覚醒した脳の一部で「睡眠の回復効果」を誘発することに成功

2026.06.11 11:30:20 Thursday

イルカは、脳の片側だけを眠らせながら泳ぎ続けることができます。

片方の脳で休息を取り、もう片方の脳で周囲を警戒する。

私たち人間から見ると、まるで「半分だけ眠る」という不思議な能力です。

では、睡眠の効果は本当に脳全体が眠らなければ起こらないのでしょうか。

米国ウィスコンシン大学マディソン校(UW–Madison)の研究チームは、覚醒中のマウスの脳の一部に、ノンレム睡眠に似た神経活動を人工的に起こし、睡眠中に見られる回復作用に近い変化を誘発することに成功しました。

研究の詳細は、2026年6月8日付で科学誌『Nature Neuroscience』に掲載されています。

Researchers trigger sleep’s restorative effect in parts of the awake brain https://www.eurekalert.org/news-releases/1131139
Induction of cortical on/off periods in awake mice fulfills sleep functions https://doi.org/10.1038/s41593-026-02318-9

脳の一部だけに「睡眠のリズム」を起こす実験

睡眠は、をただ休ませるだけの時間ではありません。

特にノンレム睡眠では、神経細胞が一斉に活動する時間と、静まる時間がゆっくりと繰り返されています。

このリズムは、脳が記憶を整理し、次の学習に備えるために重要だと考えられています。

研究チームが知りたかったのは、この睡眠の働きが「脳全体が眠ること」によってしか起こらないのか、それとも「睡眠中に現れる特定の神経リズム」があれば、覚醒中の脳の一部でも再現できるのかという点でした。

そこでチームは、睡眠不足にしたマウスの脳の一部に光刺激を与え、ノンレム睡眠に似た活動パターンを人工的に起こしました。

実験では、マウスを5時間起こし続け、その最後の30分間に、脳の片側の皮質だけへ刺激を加えました。

その後、マウスを眠らせて脳活動を調べると、刺激を受けた領域では、睡眠中に強く出るはずのゆっくりした脳の波、つまり「眠り足りなさ」の指標が低くなっていました。

これは、その領域で睡眠不足による負担が一部軽くなり、通常の睡眠で強く回復する必要が少なくなった可能性を示します。

さらに重要なのは、単に神経活動を弱めただけでは同じ効果が出なかった点です。

効果を生んだのは、神経を静かにすることそのものではなく、ノンレム睡眠に似た「活動する時間」と「静まる時間」の繰り返しでした。

つまり、睡眠の回復作用には、脳をただ静かにすることではなく、ノンレム睡眠に似た「活動」と「休止」のリズムが深く関わっている可能性があるのです。

では、この「脳の一部だけの睡眠」は、実際の記憶にも影響したのでしょうか。より詳しい結果を次に見ていきましょう。

次ページ「睡眠不足の記憶低下」を補うような効果が見られる

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