私たちがイメージする「進化の階段」
長いあいだ、私たちはこんな進化のイメージを教わってきました。
海にいた魚の一部がカエルのような両生類になり、両生類の一部がトカゲのような爬虫類になり、やがて哺乳類が生まれ、最後に私たちへ——。
一段ずつ階段をのぼっていくような、すっきりとした物語です。
その階段のいちばんの難所が、「水から陸へ」という上陸でした。
そして、初期の四足動物は、いまのカエルやサンショウウオとそっくりな育ち方をしたはずだ、と考えられてきました。
つまり、子どものうちは水中で息をするエラを持つ”オタマジャクシ”のような姿で過ごし、大人になるときに体を一気に作り替える——エラを失い、肺をふくらませ、新しい手足を手に入れて、陸へ上がる、というわけです。
この体の大改造を、変態と呼びます。
そして長いあいだ、「この変態こそが、生き物を水から陸へと運んだ”橋”だったのだ」という有力な仮説がありました。
なぜ、そう考えるのが自然だったのでしょう。
理由のひとつは、初期の四足動物にいちばん姿が似た現生の動物が、ほかでもないサンショウウオ——変態する両生類——だったからです。
「これほど似ているのだから、育ち方もきっと似ていたのだろう」。そう考えるのは、ごく自然なことでした。
ところが、ここで素朴な疑問がわいてきます。
「初期の四足動物はオタマジャクシのようだった」と、これほど長く信じられてきたのなら、その証拠になる”オタマジャクシのような赤ちゃんの化石”が、たくさん見つかっていてもよさそうなものです。
しかし、そうではありませんでした。
生まれたての赤ちゃんは、化石としてほとんど残らないのです。
体が小さく、骨格の一部はまだやわらかい軟骨でできていて、死ぬとあっという間に分解されてしまうからです。
そのため「子ども時代は水中、大人になれば陸上」という両生類型のイメージは、長いあいだ、肝心の証拠がないまま語り継がれてきました。
転機は、いまから約10年前に訪れます。
当時まだ博士課程の大学院生だったマン氏は、四足動物担当の学芸員ジョン・ボルト氏から、ある不思議な化石を見せてもらいました。
米イリノイ州のメイゾン・クリークという、軟らかい体まで残る奇跡の産地から出た、ごく小さな生き物です。
その正体は、しばらく誰にも分かりませんでした。骨格の形を手がかりにしながら、走査型電子顕微鏡で細部まで確かめていくと、ようやく姿が見えてきます。
エンボロメアという絶滅動物の、生まれたばかりの赤ちゃんだったのです。
成体のエンボロメアは、体長2〜3メートルにもなる巨大な生き物でした。
たとえるなら、ワニとウナギを混ぜたような姿の、水辺の王者です。
大森林が栄えた石炭紀(およそ3億年前)の湖や沼で、食物連鎖の頂点に君臨していました。
ところが生まれたばかりのときは、体長わずか1〜2センチメートル。
10円玉ほどの小ささから、3メートルの巨体へ。じつに100倍以上も成長する生き物だったのです。































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