すべてはミミズのうんちから始まった

物語は、フランスの海辺から始まります。
アムステルダム大学のボン教授はフランスの干潟を散歩していたとき、ふと足元に、砂で作られた小さな塔のようなものが、ぽつぽつと並んでいるのに気づきました。
よく見れば、それは美しい渦巻きの形をしていて、まるで誰かが指でくるくると描いたかのようでした。
その正体は、砂の中に暮らすゴカイの仲間――ミミズと同じ「環形動物」の、海に暮らす親戚――「ラグワーム」の糞でした。
ふつう、ものが渦を巻くのは「上から落ちる」ときです。
たとえば、やわらかいクリームが、上にある注ぎ口からコーンの上にしぼり出されるとき、クリームは自分の重さで下に引っぱられながら、くるくると渦を巻いて積み上がっていきます。
はじめのうちは、注ぎ口からコーンの底まで距離があるので、クリームは大きな円を描いて巻きます。
でも山が高くなるにつれて、注ぎ口と山のてっぺんとの距離はどんどん縮まっていく。
すると、後から出てくるクリームは小さな円を描くようになり、いちばん上の巻きがいちばん小さくなります。
同様のことは熱したガラスを垂らしたときでも長いロープでも起こります。
やわらかで細長いものを上から垂らしていくと、落ちた場所にまっすぐ積み上がるのではなく、とぐろを巻くように、くるくると小さならせんを描きながら重なっていきます。
この「やわらかいものは、押し出されると巻いてしまう」という現象には、ちゃんと名前があります。
専門の世界ではコイリングと呼びます。コイル、つまり「ばね」や「巻き」のことです。
うんちもまた、腸という管から押し出される、細長くてやわらかいものです。
だとすれば、糞が巻くのも、熱したガラスやロープが巻くのと同じ物理法則で説明できる可能性がありました。
しかし砂浜のラグワームのうんちはやや特殊でした。
体が砂の下にあり、うんちは上に向けて行われます。
重力に逆らって、地面の表面へと、にゅるにゅると積み上げていく、いわば、「反重力のうんち」です。

下向きのうんちと、上向きのうんち。出す向きが正反対なら、できあがる形も、まるで違ってくるはずです。
実際、ラグワームの糞は、絵文字のようなとがった山にはなりません。
むしろ蚊取り線香のように、巻きの半径があまり変わらない、均一な渦巻きになります。
普通ならば「だからどうした?」とそのまま去ってしまうでしょう。
ですが、やわらかいものの専門家(ソフトマター物理学)としてボン教授はこの渦巻きのうんちに興味を引かれ、その謎を解明することにしました。
実は、こうした渦巻く糞の不思議さにとらわれたのはボン教授が初めてではありませんでした。
『種の起源』を書いた人として歴史に名を刻むダーウィンですが、晩年の彼がいちばん心を奪われていたものはミミズのフンでした。





























![マモルーム お部屋まるごと予防空間 ダニ用 [2ヵ月用セット] ダニアレル物質の生成抑制・ダニを除去しやすくなる ダニよけ 加熱蒸散機 ダニ対策 (アース製薬)](https://m.media-amazon.com/images/I/413VgtLwPgL._SL500_.jpg)
![シルバーバック 【釣って遊ぼう!サメまみれ!】 知育玩具 幼稚園 小学校 入園 入学 お祝い プレゼント 準備 ([バラエティ])](https://m.media-amazon.com/images/I/41ejNUfrJZL._SL500_.jpg)























