400年前の絵に隠れていた「鳥を食べるコウモリ」
ヤン・ブリューゲル(1568〜1625)は、現在のベルギー出身の画家で、父親はかの有名なピーテル・ブリューゲル(1525?〜1569)です。
いわゆる「ブリューゲル」の名前で世界に知られているのは、こちらの父親の方です。
しかし、今回の驚くべき発見がなされたのは、息子のブリューゲルの作品でした。
ヤンの作品『Air』は、空に関係する生き物や神話的モチーフを描いた寓意画です。

作品には、鳥やコウモリなど60種以上の動物が細かく描き込まれており、その中にはヨーロッパ在来の鳥類や外来の鳥、家禽なども含まれています。
研究チームが注目したのは、画面の中に描かれた1匹のコウモリです。
そのコウモリは、体の大きさや赤褐色の色合い、耳や翼の形から、ヤマコウモリ属(Nyctalus)に近い特徴を持っていました。
さらに興味深いことに、その口には小鳥がくわえられていたのです。
これは、単なる不気味な演出では済まされない描写です。
なぜなら、ヤマコウモリ属の中でもオオヤマコウモリ(Nyctalus lasiopterus)は、実際に渡りをする小鳥を捕食することで知られているからです。
オオヤマコウモリはヨーロッパ最大級のコウモリで、通常の昆虫だけでなく、夜間に移動するスズメ目の鳥を捕まえることがあります。

ただし、この行動は長い間、直接観察が非常に困難でした。
夜の高空で起こるため、人間の目で確認することが難しかったからです。
そのため、科学者たちは最初、糞の中に残された鳥の羽毛などから、このコウモリが鳥を食べている可能性を調べていました。
そして近年、バイオロギング装置や音響記録、高度や動きのデータを組み合わせることで、オオヤマコウモリが飛行中の小鳥を捕らえ、空中で食べることが直接確認されました。
つまり、現代科学が最新技術でようやく確かめた行動が、約400年前の絵画にすでに描かれていた可能性があるのです。
ではブリューゲルは、いったいどうやってこの行動を知ったのでしょうか。




























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