AI絵の「元ネタ探し」はほぼ不可能だった――データを消してもAIは同じ絵を描く
AI絵の「元ネタ探し」はほぼ不可能だった――データを消してもAIは同じ絵を描く / Credit: Dai & Gifford, Nature Communications (2026), CC BY 4.0
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AI絵の「元ネタ探し」はほぼ不可能だった――データを消してもAIは同じ絵を描く

2026.08.20 21:00:47 Thursday

アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)で行われた研究によって、AIが生成した画像の多くは、「どの学習データから生まれたのか」をたどれなくなっていることが明らかになりました。

学習データが大きくなるほどこの傾向は強まり、特定の絵1枚どころか、学習データからあるアーティストの作品を丸ごと消しても、AIはほぼ同じ絵を出力したのです。

研究者たちは「消しても出力が変わらないなら、そのデータは出力の原因とは言えない」と述べており、元ネタをたどれないAIアートの存在は偶然ではなく必然だった可能性が示されています。

では、特定の誰かに由来するとは言えない絵の”作者”は、いったいどこにいるのでしょうか。

研究内容の詳細は2026年8月18日に『Nature Communications』にて発表されました。

When AI art has no author: Study finds generated images often can’t be traced to training data https://news.mit.edu/2026/when-ai-art-has-no-author-generated-images-often-cant-be-traced-to-training-data-0818
Outputs of generative diffusion models are often unattributable https://doi.org/10.1038/s41467-026-75667-5

「この絵、どこかで見た気がする」——でも確かめる方法がなかった

「この絵、どこかで見た気がする」——でも確かめる方法がなかった
「この絵、どこかで見た気がする」——でも確かめる方法がなかった / Credit:Canva

AIが描いた1枚のイラストに、なんとなく既視感を覚えたことはないでしょうか?

SNSでは「これは有名なアーティストの絵柄を写しただけでは?」という論争が絶えず、実際にアーティストたちがAI企業を訴える裁判は世界各地で進行中です。

こうした争いを解決するカギと考えられてきたのが、生成画像の「出どころ探し」です。

AIの出力が学習データのどれに由来するのかを特定できれば、クレジット表記や報酬の支払い、そして規制のルール作りにも道が開けます。

MITの研究チームも当初、出どころ探しの技術がAIの理解や規制に役立つと期待して研究を始めました。

ところが、この出どころ探しには大きな壁がありました。

「この画像を学習していなかったら、AIは何を描いたのか」を本当に確かめるには、その画像抜きでAIをゼロから作り直すしかありません。

学習画像は膨大にあるため、1枚ずつ確かめていくのは事実上不可能でした。

そこで研究チームは、発想を変えました。

あとから作り直すのではなく、最初から「特定の画像の影響だけをオフにできるAI」を作ってしまえばいいのです。

新開発のAI(拡散アンサンブル)は、それぞれ違う組み合わせの画像を学んだ小さなAIの集合体で、ある画像の影響を消したいときは、それを学んだ小さなAIたちをオフにするだけで済みます。

こうして「その画像を一度も見ていないAIなら何を描いたか」を、作り直しなしで正確に確かめられるようになりました。

この新型AIが描く絵の品質は従来のAIとおおむね同程度で、検証の土台は整いました。

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