IQが高い人ほど、ワインの知識テストでも高得点だった
一般にIQが高い人は、学校の成績や仕事上の知識でも高い成績を示す傾向があります。
ただし、これには少し問題があります。
学校では良い成績を取るために勉強しますし、仕事では知識を身につけるほど評価や収入につながる場合があります。
つまり「IQが高いから知識が増えた」のか、「勉強する機会や理由が多かったから知識が増えた」のかを切り分けにくいのです。
そこで研究チームが目をつけたのがワインでした。
ワインの世界にはブドウ品種、産地、醸造法、格付け、保存方法など膨大な知識があります。
一方で、大部分の人にとって、それらを覚えても成績が上がったり給料が増えたりするわけではありません。
研究では平均年齢約43歳の525人に、数字や文字の規則性、図形問題、言語的な推論などを含む知能テストを受けてもらいました。
さらに、ワインに関する68問の選択式テストも実施しました。
問題には、ブドウ畑の環境や醸造法、地域ごとのワインの特徴、保存方法などが含まれていました。
その結果、IQが高い人ほどワイン知識テストでも高い得点を取る傾向が確認されました。
統計的には、知能によって参加者ごとのワイン知識の違いの約9.4%を説明できました。
しかも525人のうち458人は、ワイン業界で働いた経験がありませんでした。
つまり、単に「仕事でワインを扱っていたから詳しくなった」というだけでは説明できなかったのです。

チームは今回の結果について、人間の知能が「必要だから覚える」場面だけでなく、「趣味のような自由な学習」でも知識の蓄積を助けている可能性を指摘しています。
ただし、これは「ワインに詳しい人はIQが高い」と個人レベルで判定できるという意味ではありません。
また今回測定されたのは、産地や醸造法などの「知識」です。
味や香りを見分ける能力は調べられていません。
そのため、IQが高い人ほどワインの味を正確に判別できる、あるいはワインを飲むことで頭が良くなる、という研究でもありません。
それでも今回の研究は、人間が知識を蓄えていく仕組みについて興味深い示唆を与えています。
私たちは学校や仕事だけでなく、誰からも覚えるよう求められていない趣味の世界でも、驚くほど深い知識を身につけることがあります。
その「好きで調べているうちに、いつの間にか詳しくなっていた」という現象の背後には、興味や経験だけでなく、情報を整理し吸収する認知能力そのものも関わっているのかもしれません。

































