画像
猫のフレーメン反応から分かること / Credit:Canva
animals plants

猫の「ニオイを嗅いだ後の変顔」を調べて、個体を見分ける仕組みを発見

2026.08.21 11:30:14 Friday

猫がニオイを嗅いだ後、突然口を半開きにして不思議な表情を浮かべることがあります。

一見するとただの変顔にも見えますが、この「フレーメン反応」を詳しく調べたことで、猫が尿から相手を見分ける仕組みの一端が明らかになりました。

岩手大学を中心とする研究チームは、猫の尿に個体ごとに異なる特殊な脂肪酸の組み合わせが存在し、猫がその違いを識別できることを発見しました。

研究成果は2026年8月20日、科学誌『Current Biology』にオンライン公開されました。

ネコの”あの顔”から見つかった「においの名刺」―尿の個体識別を支える特殊な脂肪酸と腎臓の貯蔵庫― https://www.iwate-u.ac.jp/cat-research/2026/08/008021.html
Signatures of branched-chain fatty acids derived from a kidney reservoir confer stable chemical individuality on domestic cats https://doi.org/10.1016/j.cub.2026.07.045

”猫の変顔”から導く「尿による個体識別」の仕組み

にとって尿は、単なる排泄物ではなく、マーキングを通して個体情報を残す化学的なサインにもなります。

しかし、ニオイを作る物質は時間とともに蒸発したり変化したりします。

それなのに、どうすれば「誰が残した尿なのか」という情報を安定して残せるのでしょうか。

研究チームが手掛かりにしたのが「フレーメン反応」です。

これは、猫が尿などを嗅いだ後に口を半開きにして上唇を持ち上げる行動で、ニオイに含まれる化学物質を「鋤鼻器」と呼ばれる感覚器官に取り込む行動と考えられています。

まず研究者たちは、同じ個体の尿を猫に繰り返し提示した後、別の個体の尿へ切り替え、嗅ぐ時間やフレーメンの変化を調べました。

さらに、フレーメンを手掛かりに尿中の脂質成分を分析し、猫の尿から13種類の「分岐鎖脂肪酸」を発見しました。

そして、その組成が同じ猫の中でどの程度安定しているか、尿を25℃で24時間置いた後にも特徴が残るかも確かめています。

加えて、分岐鎖脂肪酸以外の尿中脂質を同じ条件にそろえ、分岐鎖脂肪酸だけを別個体由来の組成に替える行動試験も行っています。

また、体内でこれらの物質がどこに蓄えられているのかを調べ、イエネコ以外のネコ科動物とも比較しました。

その結果、分岐鎖脂肪酸の種類と比率は個体ごとに異なる一方、同じ猫では比較的安定しており、猫自身もその組成差を嗅ぎ分けられることが分かりました。

さらに、その安定性を支える可能性のある「貯蔵庫」が腎臓に見つかりました。

より詳しい結果を次項で見ていきます。

次ページ尿には個体ごとの「においの名刺」があった

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

動物のニュースanimals plants news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!