恋人がいるのに、頭から離れない人がいる

恋人やパートナーがいるのに、職場や友人の輪のなかに、気づくと目で追ってしまう相手がいる——そんな話は珍しくありません。
手を出したわけでもなければ、連絡先を消すほどの理由も見当たりません。
それでも、その人を思い出している時間だけが少しずつ増えていきます。
浮気と聞けば、まず肉体関係があったかどうかに目が向きます。
けれど、そこに至らなくても、別の誰かに心が向くことで関係が傷んでいくことはあります。
研究チームが測ろうとしたのは、行動には表れない、この心の動きのほうでした。
恋人以外の誰かに、考えと感情と欲求が向き続けてしまう状態——研究チームはこれを心の浮気(対外恋慕)と呼び、その強さを測るものさしを自分たちでつくりました。
調査の対象になったのは、交際中のルーマニア人303人です。
女性204人と男性99人、年齢は19歳から64歳(平均37.8歳)、半数がすでに結婚していて、交際期間は平均で9年を超えていました。
さらに参加条件が少し変わっていて、「恋人のほかに、実際に知っていて惹かれている相手がいる」と答えた人だけが対象になっています。
募集を行う過程で、心の浮気をしている人だけを集めていった結果です。
(※顔の見えないネット調査だからこそ、普段は口にできない状態を申告できたのかもしれません。)
次に、この条件をクリアした303人の精鋭たちについて、2つの性質が調べられました。
ひとつは闇の3特性(ダークトライアド)で、計算高く人を操るマキャベリズム、自分を特別だと感じるナルシシズム、衝動的で共感の薄いサイコパシーが含まれます。
もうひとつは、その反対側に置かれる光の3特性(ライトトライアド)で、人を目的として扱い手段にしないカント主義、人の尊厳を重んじるヒューマニズム、人は基本的に善だと信じる人間への信頼の3つからなる、2019年に提唱された比較的新しい枠組みです。
さらに、愛情がなくてもセックスに抵抗を感じない度合いを、態度と経験と欲求の3方向から尋ね、いまの関係にどれだけ満足しているかも測っています。
つまり性格と関係についての合計8項目と、「心の浮気」の強さを比べたのです。
すると予想どおり、闇の3つはどれも、強い人ほど心の浮気も強いという並びでした。
なかでも結びつきがはっきりしていたのはサイコパシーです。
光の3つはその逆で、強い人ほど心の浮気は弱く、いちばんはっきり出ていたのは人間への信頼でした。
人の善意を疑わずにいられる人ほど、恋人以外への想いは弱かったということになります。
しかしより詳しく調べると、2つの性質に逆転が起きていました。




























