優しい心が「心の浮気」につながった

ここまでは闇の3特性、光の3特性、追加の2項目と「心の浮気」を1つずつ突き合わせ、ある意味で予想どおりの結果が得られました。
闇の特性が強い人ほど心の浮気も強く、光の特性が強い人ほど心の浮気は弱い、という結果です。
ただ、ある特性はたいてい、他の特性の強さや弱さに関連しています。
実際、優しい人は人を信じる気持ち、人を手段として使わない態度、いまの関係への満足感のような、他の良い性質もまとめて持っています。
そのため一つずつ調べるだけでは、性質同士の重なりに邪魔されて、どの性質と心の浮気が結びついているのかを切り分けられません。
そこで研究チームはここから、比べ方を変え、切り分けができるように工夫しました。
たとえばサイコパシー傾向も、愛のないセックスへの抵抗のなさも、恋人への満足度もほとんど同じ2人がいるとします。
違うのは、優しさの度合いだけです。
このとき、恋人以外の相手に強くとらわれているのはどちらなのでしょうか。
このような比べ方をすると、それぞれの性質と心の浮気との結びつきが、よりはっきり見えてきます。
すると、2つの特性の向きが逆になっていました。
ひとつが、人の尊厳を重んじるヒューマニズム、つまり優しさです。
ほかの性格や関係への満足度をそろえて比べると、この優しさが強い人ほど、心の浮気も強かったのです。
優しい心は、目の前の相手の心の動きに敏感で、相手を尊いものとして受け止める力だと考えられます。
そしてその力は、恋人にだけ働くようにはできていません。
研究チームは、優しさに固有の感受性と開放性が、恋人以外の相手とも感情的に意味のある結びつきを作りやすくしているのではないかとみています。
向きが逆になったもう一方は、計算高さ(マキャベリズム)でした。
同じようにそろえて比べると、計算高さが強い人ほど、心の浮気は弱かったのです。
心の浮気は、思考と感情を長い時間ひとりの相手に預け続ける状態です。
恋愛としてはまだ始まってすらいなくても、消費するものは真剣な交際とよく似ています。
戦略的に動き、自分の評判を勘定に入れる人にとって、心の浮気は割に合わない投資なのだろうと論文は説明しています。




























