「オーガズム瞑想」は脳機能を独特なパターンに変化させると判明!
瞑想と性感は正反対の概念であるように思えて、両者には共に「恍惚(こうこつ)」という共通点が存在します。
瞑想を行っているときの脳は決して無活動ではなく、ときには激しい報酬系の活性化を引き起こし、世界との一体感や深い感情をともなった「恍惚」の状態を引き起こします。
また性感も単なる報酬系の活性化だけではなく、震えるような高揚感をとおして、やはり「恍惚」の状態に至ります。
しかし近年に至るまで、両者の融合について、科学的な側面から分析されることはまれでした。
そこで今回、トーマスジェファーソン大学の研究者たちは、瞑想と性感を融合させた「オーガズム瞑想」を行っているときの脳活動を調査することにしました。
通常の瞑想が呼吸などに集中する一方で、オーガズム瞑想は体の感覚に集中することになります。
今回女性を刺激する男性は、主に指に感じる女性の陰核の触感、そして刺激される女性は自らの陰核の感覚に一心不乱に意識を集中させます。
それでいて、オーガズム瞑想法では絶頂が目的とはされず、瞑想のように体の感覚に集中し続けることが最も重要視されます。
調査にあたってはまず、20組の健康な男女が集められました。
実験が開始されると各カップルはプロトコルに従って、瞑想状態に入りつつ、男性が女性の陰核を絶え間なく15分間にわたって刺激し、その後MRI(核磁気共鳴法)を使って脳の活動が測定されました。
結果、刺激される女性だけでなく刺激しているだけの男性でも、集中力と開放感そしてゾーンやフローに関係する前頭葉において、通常時とは大きく異なる変化がみられました。
また世界や空間との一体感に深く関与するとされる頭頂葉にも大きな変化がありました。
興味深いことに前頭葉と頭頂葉でみられた活動パターンは、瞑想時に観察されるパターンと一致する部分がみられたのです。
さらに感情的な中心である側頭葉の一部や報酬系(ドーパミン領域)の活性化もみられました。
これらは性感と瞑想の双方に関係することが知られています。
以上の結果は「オーガズム瞑想」が瞑想と性感のハイブリッド状態であり、また瞑想時の脳活動と性感に従事しているときの脳活動の両者が、互いに関連していることを示します。
脳科学の観点からも、瞑想と性感は「似て非なるもの」ではなく、兄弟のような関係にあったのです。