ヒーローの健康事情をマジメに診断
研究チームは、2008年公開『アイアンマン』から2021年公開『ブラック・ウィドウ』までのマーベル映画23作品を対象にレビューし、2020年と2021年のロックダウン中に集中的な分析を行いました。
具体的には、ヒーローたちが映画内で取っている行動を詳細に調べ、そこから健康リスクを推定します。
その結果、スーパーヒーローは(数千年の寿命を持つマイティ・ソーを除いて)私たちと同様に加齢し、また、生活環境の改善で健康問題も修正可能であると結論されました。
まず、ポジティブな側面について調べたところ、スーパーヒーローは、健康的な加齢を可能にする身体活動や運動を定期的に行っています。
また、社会との繋がりや結束力も高く、認知症の発症リスクは低いと判断されました。
さらに、ヒーローたちは、全体的にポジティブで楽観的な考え方をしており、メンタルの回復力や目的意識も高く、これらはすべて健康的な加齢と関連するポイントです。
それから、ソーとアイアンマン(トニー・スターク)を除けば、ヒーローたちは飲酒や喫煙をしていませんでした。
まあ、マイティ・ソーは神様なので、人間と同じレベルで健康問題を語る必要はないでしょう。
次に、ネガティブな側面を調べたところ、騒音や大気汚染、頭部の外傷に頻繁にさらされていることから、認知症や一生続く身体障害を負うリスクが高いヒーローもいると判断されました。
確かに、鋭利な刃物で刺されたり、ガレキの山に吹き飛ばされて、尋常じゃない量の土埃を吸っています。
ハルクはキレすぎ、スパイダーマンは睡眠不足
続いて、チームは、数あるヒーローの中から5人(アイアンマン、ハルク、ブラック・ウィドウ、ブラックパンサー、スパイダーマン)に焦点を当てて、個人的特徴と健康面を調べました。
その結果、アイアンマン(巨大軍需企業の社長)とブラックパンサー(一国の王様)は、非常に裕福かつ知的であるため、認知症のリスクは低いと予想されました。
また、ブラックパンサーはベジタリアンで喫煙や飲酒もしないため、健康レベルはかなり高いと見られます。
一方、ハルクの体格や筋肉量、および常時キレていることから、心臓疾患や肥満、いくつかの慢性疾患のリスクが高いようです。
(ただ、直近のハルクは、怒りもコントロールできるようになってましたね)
ブラック・ウィドウ(ナターシャ・ロマノフ)は、幼少期から暗殺者の訓練を受け、心に深いトラウマと抱えていることから、精神的疾患のリスクが高くなっています。
そして、スパイダーマンは、体力・柔軟性・敏捷性に長けているため、高齢になってからの転倒リスクはヒーローの中でも最も低いでしょう。
他方で、スパイダーマンことピーター・パーカーは、普通の高校に通うティーンエイジャーです。
にもかかわらず、親愛なる隣人として毎晩のように犯罪と闘っているため、同年代の男女に推奨される8〜10時間の睡眠時間を確保できていない可能性があります。
これにより、精神的健康の低下、不慮の事故の発生率の上昇が危惧されます。
チームは、本研究の成果について、こう述べています。
「これまで、MCUのヒーローたちは、多次元宇宙の平和維持、人間の意識の調整、AIの創造、宇宙旅行を容易にする技術開発などに注力してきました。
けれども、これからは、認知症や記憶障害、その他の疾患を防ぐために、医療や社会的ケアにより関心を持つべきです。
そうすれば、ヒーローたちは、年を取っても、質の高い生活を送ることができるでしょう」
しかし、公開予定のスケジュールを見るかぎり、ヒーローに休息の時はまだまだ訪れないようです。