鼻づまりの原因物質をマウスで発見!
鼻づまりは誰もが経験する不快な症状です。
中でも花粉症などのアレルギー性鼻炎は極めて一般的であり、鼻粘膜が炎症を起こして血管から体液がにじみ出し、粘膜を腫れさせて、空気の流入が妨げられることで発生します。
このような炎症を起こす物質としてヒスタミンがよく知られています。
そのため既存の鼻づまり解消には、粘膜の血管を収縮させて腫れを取り除く血管収縮剤(点鼻薬)や抗ヒスタミン剤などが用いられています。
しかし、鼻づまりを引き起こす決定的な原因物質は明らかになっていません。
点鼻薬や抗ヒスタミン剤には確かに鼻づまりを抑制する効果がありますが、どちらも基本は炎症を抑えて粘膜の腫れを解消するための薬であり、鼻づまりの原因物質に対処しているわけではありません。
結果として鼻づまりが解消されるならば「それでいいじゃないか」という意見もありますが、点鼻薬や抗ヒスタミン剤は幅広い効果を持つため、長期的な使用を続けていると、同じ効果を得るためにより多くの薬を必要とするようになってしまいます。
一方で、鼻づまりの直接的なトリガーとなる原因物質をみつけて抑制することができれば、より効果的な治療を行える可能性があります。
そこで今回、東京大学の研究者たちは強制的にアレルギー性鼻炎にした「マウスの鼻水(鼻腔洗浄液)」を回収し、鼻炎になったマウスの鼻粘膜で生産される物質を調べました。
結果「15-HEDE(15-hydroxy eicosadienoic acid)」と呼ばれる脂質の一種が、既知の炎症性物質(プロスタグランジンな)よりも高濃度で存在することが判明しました。
そこで研究者たちは今度は逆に、15-HIDEのみを抽出してマウスの鼻腔に添加してみました。
するとマウスは鼻づまりを起こして呼吸困難に陥っていることが示されまます。
また15-HEDEをマウスの静脈に投与すると、血管が弛緩して血流を促進し、耳に投与すると体液のにじみ出しが起きている様子も確認できました。
この結果は、15-HEDEがマウスの鼻づまりの原因物質である可能性を示します。
研究者たちは、15-HEDEの生産を抑えることができれば、画期的な鼻づまりの治療薬となる可能性があると述べています。