日本の切り紙を応用! 可塑性と可逆性の両方を持つ材料を開発
通常、ロボットやドローンを変形させるには、複数のパーツとギア、また小さなモーターをたくさん使わなければいけません。
しかしこれでは構造が複雑になり、重量も大きくなります。
もっとシンプルな変形はできないのでしょうか?
例えば、1つのパーツを何度も折り曲げたり元に戻したりでき、しかも変形した後に強度を維持できるような材料があれば、より自由な変形・解除が可能になるはずです。
そこで研究チームは、可逆性(元の形に戻る性質)と可塑性(変形してその形を維持する性質)の両方の性質を併せ持った「欲張りな」材料を開発したのです。
彼らがインスピレーションを受けたのは、日本の「切り紙」です。
切り紙は紙を切って造形する芸術の1つですが、チームは、幾何学模様の切り紙が「変形」と「強度の保持」に役立つと考えました。
そして切り紙のような網目構造のゴムチューブの中に、低融点合金を注入。
この合金の融点は60℃であり、少し加熱するだけで液体になるという特徴があります。
ゴムチューブの中には細い糸状のヒーターも組み込まれているため、合金は少しの操作で固体から液体へと変化させられるのです。
つまりこの新しい材料は、力を加えると変形し、そのまま形が維持され、網目構造により強度も保たれます(可塑性)。
しかも加熱することで合金が液体に戻るので、元の形に戻ることもできる(可逆性)のです。
そしてチームは、この可逆性と可塑性を兼ね備えた新しい材料を使って、変形ドローンを作製しました。