「ゴーストシャーク」って、どんなサメ?
「Ghost Shark(ゴーストシャーク)」というのは英名であり、正式な学名は「カロリンクス・ミリ(Callorhinchus milii)」、標準和名は「ゾウギンザメ」です。
海底に隠れて幽霊のように姿を見せないことから、この英名が付けられました。
ゴーストシャークは、骨格のほとんどが軟骨でできている軟骨魚類の一種です。
軟骨魚類は、板鰓(ばんさい)類と、全頭(ぜんとう)類に分かれ、前者にサメやエイが、後者にギンザメが分類されます。
ゴーストシャークは、ギンザメ目に属します。
彼らの分布域は、オーストラリア南岸〜ニュージーランド周辺に限られており、種の大半が水深200mに生息。
成熟個体は全長50〜70cmまで成長し、最大寿命は15年と推定されています。
最大の特徴は、和名にもある通り、ゾウの鼻のような器官(吻端、ふんたん)です。
これは微弱な電磁場を感知でき、それで海底を探りながら、エサを見つけます。
さて、今回のゴーストシャークの赤ちゃんは、ニュージーランド南東近くの水深1200mほどで捕獲されました。
採取したNIWA(国立水圏大気研究所)のブリット・フィヌッチ(Brit Finucci)氏によると、「水中個体群の調査トロールを行っているときに偶然に捕獲された」とのこと。
「ゴーストシャークの野生個体が見つかることは稀なため、非常に貴重は発見です」と続けます。
赤ちゃんは、腹部がまだ卵黄でいっぱいだったことから、孵化した直後と判断されました。
ゴーストシャークの稚魚は海底に産み付けられた卵の中で成長し、孵化するまでの間、卵黄を食べて栄養にします。
フィヌッチ氏は「稚魚は成体とは異なる特徴を示すため、この発見は幼生期についての理解を一層深めるものである」と指摘します。
研究チームは今後、本個体の種の特定から始めるという。
「組織サンプルを少し採取し、遺伝子をランダムに調査します。それから、形態計測や身体計測を一通り行うことで、どの種であるかを特定できるでしょう」と話しました。