逆さまな虹を撮影
逆さまな虹を撮影 / Credit:Marcella Giulia Pace,Astronomy Picture of the Day(2022)
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NASAが「逆さまの虹」を公開、U字になるメカニズムを解説 (2/2)

2022.03.20 Sunday

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虹と環天頂アークの違い

虹の仕組み。太陽光が水滴の内部で反射・屈折
虹の仕組み。太陽光が水滴の内部で反射・屈折 / Credit:KES47(Wikipedia)_虹

私たちがよく知っている虹は、太陽が大気中を浮遊する滴に当たったときに生じます。

光が水滴の内部で屈折と反射を繰り返すことで、私たちの目に届くのです。

その際、太陽光はさまざまな波長の光に分散。

それぞれの波長によって屈折率が異なるので、水滴の位置によって見える色が異なります。

虹は太陽とは反対の方向に見える。上が副虹。下が主虹。一般的によく見えるのは主虹
虹は太陽とは反対の方向に見える。上が副虹。下が主虹。一般的によく見えるのは主虹 / Credit:Wikipedia Commons_虹

つまり、一般的には虹の上部に位置する水滴は赤色の光(波長)を、虹の下部に位置する水滴は紫色の光(波長)を私たちの目に届けているのです。

また通常の虹は、水滴が太陽光を「反射」して見えるものなので、太陽とは反対の方向にあらわれます。

環天頂アークは六角形の氷晶によって生じる
環天頂アークは六角形の氷晶によって生じる / Credit:Sung Hong(Chrysler Group LLC)_A Study on Atmospheric Halo Visualization(2012)

一方、環天頂アークは、太陽光が空気中の水滴ではなく、「晶」に当たったときにあらわれます。

上空にできた六角形の平らな氷晶の中で、太陽光が屈折することで私たちの目に届いているのです。

この場合も波長による屈折率の違いにより、氷晶はその位置によって私たちの目に届ける波長を変えます。

そのため、氷晶によって届く光(環天頂アーク)も、虹色に分かれて見えます。

環天頂アークの仕組み。反射していないので、太陽と同じ方向にあらわれる
環天頂アークの仕組み。反射していないので、太陽と同じ方向にあらわれる / Credit:Petr Hykš(Flickr)_Circumzenithal arc formation(2018)

ただし環天頂アークの場合、氷晶の形状ゆえ、私たちの目に届くのは「反射」した光ではありません。

氷晶の内部をただ「屈折」しただけの光です。

そのため、環天頂アークがあらわれるのは太陽と同じ方向になります。

さて、こうしたいくつかの違いによって、環天頂アークは弧の向きと色が通常の虹とは逆になっているようです。

また環天頂アークは氷晶によって発生するため、通常はの中に隠れていることが多いようです。

しかし、いくつかの大気条件、観測者の位置条件がうまく重なり合えばきれいに見えます。

そこまで珍しいものでもないので、チャンスを待てば、いつかは観測できるでしょう。

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