タンポポの種が広がる原理を利用する
気象観測や、スマート農業などAIで作物を管理するためには、広範囲にセンサーを設置して情報を取得する必要があります。
しかし広範囲にセンサーを設置するのは手間のかかる問題であり、また人の入りづらい山や森の奥などに設置するのはかなり困難です。
いかに管理・分析するための技術が進歩しても、「どのようにセンサーを広範囲に配置するか」という問題が解決されなければ、有効に活用することはできません。
そこで研究チームは、タンポポが風に乗って種を広範囲にばらまく仕組みに目を向けました。
タンポポの種ように、風に乗って広がる小型センサーを開発したいと考えたのです。
タンポポの種が遠くまで広がる秘密は、その構造にあります。
タンポポの種は誰もが知る通り、パラシュートのように種が綿毛に吊るされています。
この綿毛の周囲を流れる空気が独特な渦を形成することで、種の落下速度が遅くなったり、時には風で上方にすくい上げられたりするのです。
チームは、このタンポポの種と綿毛の構造を2次元に投影。新デバイスのベースにしました。
またリング構造を追加したり、デバイスの剛性や面積を大きくしたりすることで、タンポポの種より重いデバイスても効果を発揮するようにしました。
試行錯誤により完成したのは、丸い薄型センサーです。
センサーの重量は30gとタンポポの種の約30倍重いですが、そよ風に乗って100mも移動することが可能です。