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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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サイボーグビートル「ZoBorg」が災害現場の救世主になる

2025.07.14 23:00:27 Monday

災害現場の瓦礫の中を、自力でスルスルと進み、壁も垂直に登っていく。

そんな未来のレスキューヒーローが「昆虫」だとしたら驚くでしょうか?

豪クイーンズランド大学(UQ)は最近、ゴミムシダマシの一種をサイボーグ化した昆虫型ロボット「ZoBorg(ゾボーグ)」の開発に成功したと報告。

昆虫に背負わせたバックパックを通して、遠隔で動きをコントロールできることを実証しました。

チームは今後5年以内に、災害現場での実用化を目指しています。

研究の詳細は2025年6月5日付で科学雑誌『Advanced Science』に掲載されました。

※ 以下の記事内では、昆虫の画像を掲載しています。苦手な方は閲覧にご注意ください。

 

‘Cyborg’ beetles could revolutionise urban search and rescue https://www.uq.edu.au/news/article/2025/07/cyborg%E2%80%99-beetles-could-revolutionise-urban-search-and-rescue Cyborg Beetles Could Be Unlikely Heroes in Future Disaster Rescues https://www.sciencealert.com/cyborg-beetles-could-be-unlikely-heroes-in-future-disaster-rescues
Zoborg: On-Demand Climbing Control for Cyborg Beetles https://doi.org/10.1002/advs.202502095

生きた昆虫を「制御する」時代へ

ZoBorgのベースになったのは、ゾフォバス・モリオ(Zophobas morio)という大型のゴミムシダマシの一種です。

この昆は、幼虫の姿が「スーパーワーム」とも呼ばれ、プラスチック(ポリスチレン)さえも分解する能力が知られるなど、多くの面で注目されていました。

研究チームはこの昆虫に、重さわずか160ミリグラムの無線バックパックを装着。

このパックには赤外線受信機やマイコンが内蔵されており、前翅(エリトロン)や背中に埋め込まれた電極に微弱な電気刺激を送ることで、方向や速度をコントロールできるようになっています。

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バックパックを背負わせた甲虫/ Credit: Fitzgerald et al., Adv. Sci(2025)

特に興味深いのは、片側の前翅だけを刺激すると、昆虫が反対側に横歩きするという現象です。

これにより、昆虫を意図した方向へ誘導することが可能になります。

また、両方の前翅を同時に刺激すると、前進や加速が促されることも判明しました。

これらの運動は、昆虫本来の神経系と筋肉を利用しており、低電力で高効率な制御が可能です。

さらに触角や足のセンサーが自然のまま残されているため、昆虫は自律的に障害物を感知し、地形の変化に柔軟に対応できます。

次ページ壁を登る「生体マシン」の可能性

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