世界最古の義眼は約4800年前に作られていた!
信じられないかもしれませんが、世界最古の義眼は今から約4800年前にまで遡ります。
イランとイタリアの共同研究チームは2006年、イラン南東部にある青銅器時代の都市遺跡「シャフレ・ソフテ」にて、驚くべき遺骨を発見しました。
この遺骨の左眼窩に「半球状の義眼」がはめ込まれていたのです。
調査の結果、義眼をはめた遺骨は25〜30歳の女性で、亡くなったのは紀元前2800〜2900年の間と判明しています。
シャフレ・ソフテの都市自体は、紀元前3200年頃に建設され、その後何度も火災が発生し、街のほとんどが焼けていることから「焼けた都市(the Burnt City)」とも呼ばれます。
歴史学者らは1997年以来、同地での発掘調査を進めており、これまでに、サイコロゲームや大理石のカップ、装飾の施された革製品、脳外科手術を示す頭蓋骨などが見つかっています。
遺物の年代から、都市は紀元前2350年頃に放棄されたと考えられていますが、その原因が度重なる火災にあったかどうかはわかっていません。
女性の付けていた義眼は、天然のタールと動物の脂肪を混ぜたものであり、装着時は眼窩の中にしっかりと収まり、かつ耐久性にも優れていたと見られます。
半球状の義眼の両端には穴があけられており、そこに金糸を通して眼帯のように固定していたようです。
発見された当初は「埋葬時にはめ込まれただけではないか」との指摘もありましたが、眼窩の骨を顕微鏡で調べたところ、義眼の固定時にできる金糸による摩耗の跡が見つかりました。
そのため、女性は生前から義眼を装着していたと結論されています。
しかし一方で、義眼に付着していた「まぶた」の組織片や、頭蓋骨から見つかった組織片を分析した結果、まばたきによる義眼との擦れで、まぶたを膿み、その一部を失っていた可能性が高いようです。
では、この義眼を付けていた女性は、一体どんな人物だったのでしょうか?