人間は初めて出会った相手を匂いで判断している?
多くの哺乳類は匂いからもたらされる情報を重視します。
初めて出会った動物同士は、互いに匂いを嗅ぎ合って、仲良くするか、逃げるか、攻撃するかを決定するのです。
しかしヒトの場合、「社会性において嗅覚の役割はそこまで重要ではない」と考えられてきました。
確かに私たち人間は相手のことをよく知ることで、友情が深まったり、悪かった第一印象が覆ったりするものです。
では、相手の情報が少ない初対面において、私たちが感じる「直感的な好みや相性」は、どこから生じているのでしょうか?
もしかしたら私たちが意識していないだけで、視覚以外にも嗅覚から情報を得ているのかもしれません。
そこで研究チームは、初めて出会って「ウマが合う」と感じることと嗅覚の関係性を調べることにしました。
最初の実験では、同性かつ恋愛感情のない友人関係で、「出会ってすぐにウマが合った」と感じていたペア20組を募集しました。
そして彼らの体臭を比較するため、新しい綿のTシャツを6時間以上着用してもらい、それを匂い分析器で解析。
また匂いを嗅ぐボランティア「スメラー」を25人募集して、参加者たちの体臭を比較してもらいました。
機械と人間の両方で、ウマが合う友人ペアの匂いを比較調査したのです。
その結果、機械と人間の両方が、「ペア同士の匂いは、そうでない人の匂いと比べて似ている」と判断することが多かったようです。
とはいえ、この結果だけでは、「同じような匂いが友情を促進する」とは言い切れません。
彼らはすでに多くの時間を一緒に過ごしてきたため、住んでいる場所や食べ物など、似たような経験を通して、同じ体臭が形成された可能性があるからです。
そこでチームは、追加の実験を行うことにしました。