当時の西洋で天文に関わるのは「命取り」だった
西洋は言うまでもなく、キリスト教圏です。
当時のローマ教会は、宗教と天文学を密接な関係として捉え、天空(宇宙)を”完璧で犯すことのできない存在”として絶対視していました。
教会側が、地球は宇宙の中心で静止し、その周りを太陽を含む天体が回っているとする「天動説」を唱えたのは有名な話です。
少し後の時代になって、天動説を信奉する教会に対し、「地動説」を主張したジョルダーノ=ブルーノ(1548〜1600)は、有罪判決を下され、火あぶりの刑に処されました。
同じく、地動説を唱えたガリレオ=ガリレイ(1564〜1642)も有罪となり、禁固刑を言い渡されたのはご存知でしょう。
このように、天文学と宗教が堅く結びついたキリスト教圏で、天空の変化(ここでは超新星爆発)を指摘するのは、命に関わる危険な行為だったのです。
そんな中で、下手に超新星について言及し、教会の神学的な教義に疑問を呈しては、破門かあるいは死罪になりかねません。
西洋の人々が超新星の記録を残さなかったのは、こうした社会的状況が背景にあったと考えられます。
しかし、今回の研究が示唆するように、勇気ある何者かが、世の中に流通するコインの中に、さりげなく超新星の記録を残した可能性があるのです。