超新星爆発に合わせてコインを特注?
今回、研究チームが再発見したのは、「コンスタンティヌス9世モノマコス第4種(Constantine IX Monomachos Class IV)」と呼ばれるコインです。
コンスタンティノス9世モノマコス(在位:1042年〜1055年)は、東ローマ帝国の皇帝で、その統治期間の終わりに夜空で有名な超新星爆発が起こっています。
彼の治世のコインは、これ以前に第1種〜第3種まで作られており、第4種は、1054年の夏から1055年の春にかけて特別に鋳造された可能性が高いとのこと。
その目的は「おそらく、夜空に輝くSN 1054を記録するため」だとチームは指摘します。
こちらが、コインの第1種〜第4種です。
右下が第4種のコインで、中央に描かれたコンスタンティヌス9世の肖像は同じですが、皇帝の顔の左右に星のようなシンボルが2つ確認できます。
他方で「他の3種には、目立つ星のようなシンボルは1つしかない」とチームは指摘します。
なぜ、第4種だけ星を余分に描き込んだのでしょうか?
チームの説明では、一方の星は朝方に見える金星「明けの明星」を表し、コンスタンティヌス9世の顔自体は「太陽」を表すという。
そして、第4種にだけ見られるもう一つの星が、超新星のSN 1054を表しているといいます。
これと鋳造年代(1054年夏〜1055年春)を踏まえると、超新星爆発に合わせて、第4種のコインを特注した可能性が高いと考えられるのです。
また、これまでに見つかっている第4種のコイン計36枚を調べたところ、SN 1054と見られる星の大きさが微妙に異なっていることがわかりました。
これについてチームは、夜空に輝く超新星が徐々に光度を弱めている様子を反映した結果ではないか、と指摘しています。
しかし残念ながら、これほど些細な印では、コインの星をSN 1054と断定することはできませんし、この仮説も推測の域を出ません。
では、これがSN 1054の記録であるかどうかは別として、なぜ西洋人はもっと明確に超新星の記録を残さなかったのでしょうか?