ロボットの内面は人間の介入なしに作られた
今回の研究により、ロボットに初歩的な自己意識を芽生えさせることに成功しました。
これまでロボットに対して行われてきた学習は、決められた動きを効果的に行うための方法を探索することでした。
しかし新たに開発された自己認識を持つロボットは、限定的ながらも自分の心(雲の形をしている)に沿って自分の体を動かしているかのような反応を示しました。
ニューラルネットによって生成された「雲」が本当にロボットの自己認識に相当する存在かについては、意見が分かれるところですが他に「雲」に名付ける適切な名前がないのも事実でしょう。
また今回の研究では自己意識の概念とは別に、工学的に重要な点として、ロボットがこれら機能を獲得する過程において、人間は全く介入を行っていなかったことがあげられます。
(※人間が行ったのはカメラを設置したりニューラルネットとロボットアームを接続するという初期セットアップのみという意味です)
ロボットはランダムな動きから関節や各腕の長さなど自分の体の特性を学び、自分の体がどう動くべきかを決める「雲」を形成していきましたが、これらロボットの内面が形成される過程において人間はただ観察していただけだったのです。
ロボットが獲得した機能が自己認識能力かは議論がありますが、ロボットがこの機能を使って、人間が要求する問題を解決する能力を得ていたのは確かです。
このような自動的に能力を獲得する過程は、ニューラルネットの学習コストを大幅に引き下げ、将来のロボット生産を加速することに繋がると考えられます。
もしかしたら「脳の代替」と「目の代替」と「体の代替」の3つを備えた存在には生物無生物にかかわらず、自動的に育つ何らかの精神機能があるのかもしれません。
ロボットの内面を視覚化する技術が進歩すれば、いずれはより高度な自我や意識の形も見える日がくるかもしれませんね。