人間は複数の情報を得て、より正確な判断を下している
人間は同時に複数の情報を取り入れることで、より正確な判断が可能になります。
例えば、食事という1つの場面でさえ、人間は味覚だけでなく視覚や嗅覚から得られる情報も頼りにします。
ステーキを焼いて食べるとき、単純に「美味しいステーキ」と評価するのではなく、「塩コショウとニンニクが効いたレアなステーキ」と評価するのです。
場合よっては、触感や色、香りから「もう少し焼いた方がいい」とか「鮮度が悪い」という結論に発展することもあるでしょう。
こうしたマルチな情報処理能力はAIにも求められるようになっています。
例えば従来の監視AIは、映像だけを頼りに要注意人物を見つけていました。
対象者の動きから、その人が「暴走している」とか「破壊行為をしている」などと判断していたのです。
しかし最近では技術の進展により、さらに幅広く正確な判断ができるAIが求められています。
映像だけであれば、「何もしていない人」でも、音声情報も含めて判断することで、「叫んでいる・騒音を引き起こしている人」として、要注意人物を発見できるのです。
このように「複数の情報を取り入れて、自律的に処理・判断する能力」は、生物が本来もっている非常に高度で複雑な能力の1つです。
これを再現するのはAIでも簡単ではありません。
しかしペークマンス氏らの研究によって、私たちを構成する細胞の1つ1つが同様の能力をもっていると判明しました。