重力を伝える重力子とは何なのか?
素粒子とは単純に物質の最も小さい構成要素と捉える人は多いでしょう。
しかし実は素粒子は物質の元になっているだけではありません。重力や電磁力など目には見えない力をこの世界に作り出す原因にもなっているのです。
素粒子には「物質の元になっている粒子」の他に「力を伝える作用を持つ粒子」があり、実は全然異なる2種類に分かれています。
原子核の陽子や中性子を作り上げているクォークなどの素粒子は、物質のもっとも小さい構成要素でフェルミオン(フェルミ粒子)と呼ばれています。
一方、電磁力などを伝える光子などは、力を伝達する粒子としてボソン(ボーズ粒子)と呼ばれています。
物理学では現在、強い核力、弱い核力、電磁力、重力という4つの力が定義されていて、これらは何にも触れずに力が作用しているように見えますが、実際にはボソンという素粒子が作用してそれぞれの力を伝えています。
そして4つの力を伝えるボソンのうち、唯一見つかっていないのが重力を伝える重力子です。
これは存在するのは間違いないと考えられていますが、検出はできていません。
さきほど、ヒッグス粒子は光と相互作用しないため、光子が質量ゼロという話をしましたが、光子は質量を持ちませんが、巨大な重力源ブラックホールには吸い込まれてしまいます。
重力レンズ効果というのは、質量の大きい物体の周りで光の動きが歪むことで生じる現象ですし、ブラックホールに極めて近い事象の地平面の内側へ入ってしまうと、光さえその重力から脱出することが不可能になります。
つまり光子はヒッグス粒子の影響は受けないものの、重力子からは確実に影響を受けていると考えられるのです。
こういう意味でもヒッグス粒子と重力子は異なるものです。
しかし、質量の大きいものから重力が生じているというのも事実です。
アインシュタインの相対性理論では、重力は空間の歪みとして記述されますが、これも量子論のボソンによって重力が伝達されるという考えた方をした場合、うまく整合性が取れなくなります。
そのため重力子という存在を発見し、その起源や伝達される原理を理解することは重要になってきます。
素粒子レベルでは重力はどのように生じているのでしょうか? そこに質量を生むヒッグス粒子はどのように関係しているのでしょうか?
まだまだ世界には多くの謎が残っています。