人工知能が物理学を切り開く
今回の研究により、宇宙で最もありふれた存在である陽子にはチャームクォークと反チャームクォークが存在する可能性が、ニューラルネットを用いて示されました。
無数の異なる実験条件と観測結果を学習することでニューラルネットは、陽子の内部に内在的なチャームクォークがある場合とない場合では、ある場合のほうが妥当性が高いと判断したのです。
また分析結果をもとに結論の強固さを調べたところ、陽子に内在的なチャームクォークが存在する可能性は99.7%の確かさ(3σ)と算出されました。
類似の人工知能を用いた研究はヒッグス粒子の発見にも役立てられた業績があり、今後の物理学において人工知能による導きは重要となっていくでしょう。
ただ一般に物理学において新しい素粒子を発見したと表現できる基準は「99.9999%の確かさ(5σ)」とされています。
このため3σで確認された場合は、結果について「兆候が見られる」という表現に抑えられます。
研究者たちも、最終的な結論を出すには、より多くのデータが必要であると述べています。
しかし結論が正しければ、陽子が本質的に含んでいる素粒子として、新たにチャームクォークと反チャームクォークの存在が新たに教科書に書き加えられるでしょう。