猫草の役割は毛玉を吐くため?猫草の最新研究をご紹介
猫草を食べる理由として、最もよく言われているのが「毛玉を吐くため」というものです。
ネコには消化できない猫草はそのまま食道を通って胃へ届き、尖った葉先に刺激されて嘔吐してしまいます。
その際、毛玉を吐き出すことができるため、ネコたちは積極的に猫草を食べているのだと言うのです。
しかし、実際には猫草を食べたネコが毎回吐き戻すかというとそういうわけではありません。
カリフォルニア大学の獣医学部が行った調査によると、猫草を食べている約1000匹のネコの中で、頻繁に嘔吐をしていたのは3割にも満たなかったというのです。
確かにわが家のネコにはもう数百回猫草を与えていますが、吐いたのはほんの3,4回に過ぎません。
また、四川大学の吉村氏らがユキヒョウの植物食に関して行った調査においても、植物を食べても嘔吐の回数は増えることはなく、便に含まれる毛の量も植物の量と特に相関はなかったことが示されています。
つまり近年の研究では、猫草に「毛玉を吐き出す」という役割はあまりないことが示されているのです。
寄生虫対策として役立つ猫草
一方で、動物行動学者のHazel Carney氏は「猫草によって腸が刺激され、寄生虫を排出する効果がある」のだと話しています。
消化できない猫草がそのまま腸内を通ることで、寄生虫を始めとする異物を押し出し、便として排出することができると言うのです。
実際、ネコ以外の動物でも食物繊維を多く含むイネ科の雑草によって寄生虫を排出できることが報告されています。
野生下のネコ達は多くの寄生虫にさらされているため、寄生虫を体から追い出すために猫草を食べるようになったのかもしれません。
消化促進や口臭予防も
猫草に含まれる食物繊維は寄生虫以外の異物も排出することができ、便通を整える効果もあります。
ネコは鳥の羽や骨などもそのまま食べてしまうことがありますが、それらを消化することはできません。
猫草を食べることで、それらを押し流したり、嘔吐を促して排出させる効果があります。
また、猫草の鮮やかな緑色に含まれるクロロフィルは、消臭・殺菌効果がありますので、ネコの口臭予防や歯周病予防にもなる可能性があります。
イエネコに猫草は必須ではない
猫草は寄生虫を始めとする異物の排出に役立つものです。
とはいえ、家で飼われているネコたちには寄生虫もいないでしょうし、異物を飲む機会もあまりないでしょう。
このため、あくまで猫草はイエネコにとっては嗜好品という位置づけになります。
また猫草は、与えすぎたり、赤ちゃんや高齢のネコに与えたりすると、過度な嘔吐や下痢を引き起こす可能性があります。
ネコの健康を考えながら適量を与えるようにしたいものです。
また、猫草は雑草としてどこにでも生えていますが、育ちすぎていて硬かったり、農薬などの有害物質が付着している恐れもあるため、外から取ってくるのはおすすめしません。
そこで最後にこの記事の結びとして、猫草の育て方とおすすめの与え方をご紹介します。