70歳を過ぎても筋トレは効果あり!
コペンハーゲン大学のヘルシーエイジング研究センター(Center for Healthy Aging)は今回、70歳前後の男性を対象に、ウェイトトレーニングに関する実験を行いました。
本研究では、参加した計58名の健康な高齢男性を2つのグループに分けています。
まず、実験グループでは、38名(72±5歳)に、週3回のウェイトトレーニングを16週間にわたって続けてもらいました。
一方の対照グループでは、20名(72±6歳)にウェイトトレーニングなしで16週間を過ごしてもらいます。
筋肉量の変化やフィットネスの向上は、実験の前後と、実験開始から8週間後の中間地点で測定しました。
その結果、実験前では両グループに差異がなかったものの、8週間後の時点ではすでに、トレーニングを続けたグループで、筋肉量の増加とフィットネスの改善に著しい効果が見られたのです。
「これは非常にポジティブな結果である」と、研究主任のカスパー・ソンデンブロ(Casper Søndenbroe)氏は指摘します。
「私たちの研究は、人生の後半に運動を始めても、体に十分な変化をもたらすことができることを示しています。
65歳や70歳を過ぎても手遅れということはないのです」
もちろん、ウェイトトレーニングやその他の運動によって、老化にともなう筋肉量の減少を止めることはできません。
しかし、そのペースを遅らせることは可能です。
「そのため、人生の早い段階から運動を続けて、ある種の”蓄え”を作っておくことはやはり大切でしょう」と、ソンデンブロ氏は強調しています。
研究地となったデンマークでは現在、平均寿命が延びていることで、人口が高齢化の一途をたどっています。
これは日本でも同じことでしょう。
その中で、心身ともに健康でいることは今度ますます重要になると思われます。
というのも、寿命が延びたところで、健康でなければ意味がないからです。
ソンデンブロ氏は、こう話します。
「もし、老化により身体の機能的な能力が低下した状態で、あと5年生きられるとしても、得るものは少ないのではないでしょうか。
私たちの目標は、できるだけ多くの高齢者が長生きするだけでなく、健康を実感できるようにすることです。
その手段の一つとして、ウェイトトレーニングは、老若男女を問わず、最も効果的な運動であると信じています」
研究チームは次のステップとして、ウェイトトレーニングが、筋肉と脊髄の神経系との接続レベルを強化するメカニズムについて、詳しく解明していく予定です。